平成17年11月28日
「中間試験問題」
1.標準の決定法に関する以下の設問に解答せよ。
図1は実用的に用いられている電圧標準、抵抗標準、静電容量標準の決定法を示している。a,b,cの空欄に当てはまる測定法の名前を記せ。また、各々の測定法の原理を簡単に説明せよ。
2.電圧測定に関する以下の設問に解答せよ。
(1) 図2(a)は、内部抵抗RA、定格電流IM (=VM/RA)の可動コイル型電流計を使った、電圧計の構成図である。倍率器Rを直列に挿入することにより、本来の測定電圧VMをN倍に拡大した電圧V(=NVM)を測定する。そのための倍率器Rの値は幾らか(Rを電圧倍率Nと内部抵抗RAを用いて表せ)。また、測定端子からみた電圧計の入力抵抗Rinはいくらか。
(2)図2(b)の端子間の電圧Vを上記の(a)の電圧計で測定する。負荷効果(電圧を接続したことによる電圧低下)による電圧測定の誤差は
いくらか?
(3)上記(1)の電圧計は偏位法に該当する測定器がある。これに対して、零位法に該当する電圧測定器にはどのようなものがあるか?また、零位法による電圧測定の長所をその理由を交えて説明せよ。
3.以下は雑音の混入を防ぐための方法を列挙したものである
。(1)〜(4)の各々について、どのような雑音がどのような理由で防げるのか説明せよ。
(1)トランスを使って信号源インピーダンスを変換する。
(2)測定系の接点間の温度差をできるかぎり小さくする。
(3)より線や同軸ケーブルを用いて信号線を配線する。
(4)図3のように、信号源、信号線、測定器の3者をアース(抵抗ゼロの導体)に接続する。
4.オペアンプに関する以下の設問に解答せよ。
(1)図4(a)の回路の入力電圧Viと出力電圧Voの関係を示せ。
(2)図4(b)の回路の入力電圧Viと出力電圧Voの関係を示せ。
(3)図4(c)の回路の働きを説明せよ(何の目的で使う回路か)。

平成18年2月6日
「期末試験問題」
1. 数十m の抵抗値の金属棒がある。接続線の抵抗(1mあたり数十m )や接触抵抗(数m )の影響を避けながら金属棒の抵抗を測るにはどうしたらよいか?低抵抗を測るための具体的な測定方法を示すと共に、その測定原理を説明せよ。
2. 電池Eと負荷Rの間に内部抵抗Rvの電圧計、内部抵抗RAの電流計を図1(a),(b)のように接続し、電圧V, 電流Iを測定する。
(1) 抵抗値 Rを測定したい。 (a),(b)の各々の回路について、Rv、RAが既知である前提のもとに電圧、電流の測定値V,IからRを求めるための計算式を示せ。
(2) 同様に、負荷Rの消費電力Pを測定したい。(a),(b)の各々の回路を用いた場合について、Pを求めるための計算式を示せ。
(注:上記の(1)(2)の何れもRv、RAの負荷効果による誤差を除去するための補正項を含めた計算式を示すこと)
3.図2はコイルのインピーダンスを測るためのマクスウェルブリッジ回路

である。ここで、測定したいコイルのインピーダンスを、図中の抵 抗rxとインダクタンスLxの直列等価回路で表している。
(1) ブリッジの平衡条件式を示せ。
(2) Cp=0.01 F、rp=100 k 、R1=100 、R4=500 の時にブリッジの平衡がとれた。インダクタンスLx、直列抵抗rx、コイルのQの値はいくらか。ただし、交流電源Eの周波数fはf=100 kHzとする。
4.増幅器の遮断周波数fc=200MHz,サンプリング周波数fs=1GS/s(1GHz),量子化ビット数8ビットのデジタルオシロスコープを用いて信号を測定する。
(1) 周波数f=200MHzの正弦波信号を入力した。表示波形から読取れる電圧測定の誤差を、増幅器の周波数特性、量子化誤差、標本化誤差の各々の誤差要因に分けて考察せよ。
(2)周波数200 MHz(1周期5 ns)、デューティ比(HighとLowのパルス幅の比)が1の矩形波を入力する。矩形波の立ち上がり、立下り時間はおおおそ幾らか。また、観測波形の概略を図示せよ。
5.デジタルオシロスコープに使われるA/D変換器の種類にはフラッシュ型(並列比較型)と逐次比較型がある。各々の方式の仕組み、長所短所を説明せよ。