[中間試験問題解答]
(1)
- 偏位法の原理
測定量に比例した指示を示す物理法則やメカニズムを利用して、その指示値を読取ることにより直接的に測定量を知る方法である。
零位法の原理
調整によって作り出した基準量と測定量を比較する。平衡がとれたときの基準量を読み取ることにより、測定量を知る。
- 偏位法の長所短所
長所:1回の測定で済み測定の手間がかからない。短所:読取り誤差や、測定量と指示値の関係が正確でないことによる誤差の影響を受ける。
零位法の長所短所
長所:測定精度は、比較器の感度と、基準量の正確さだけによって決定されるため、測定精度に優れている。短所:平衡をとるための操作を何度も繰り返す必要があり、測定時間がかかってしまう。
- 偏位法を用いた電圧測定器
可動コイル型電流計を用いた電圧計(端子間に流れた電流Iに比例して可動コイルが回転する。針の振れ角を目盛で読み取ることにより電流Iを測定する。電流計に直列に入れた倍率抵抗Rsに対して、V=RsIの関係から電圧Vを測定する。
零位法を用いた電圧測定器
電位差計、測定電圧、検流計、既知の可変電圧を直列に接続する。検流計に電流が流れなくなるように、可変で既知の電圧を測定電圧に平衡させる。平衡がとれた時の既知電圧から測定電圧を求めることができる。
(2)
- 真空中に1メートルの間隔で平行におかれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体の各々に同じ向きの等しい電流を流す。これらの導体の1メートルにつきF=2×10-7[N]の力を及ぼし合う電流を1Aと定義する。
- 基本量などを定義どおりに求める測定、あるいは組立単位を基本量から導く測定を絶対測定という。1Aの測定を(1)の定義どおりに測定する測定は、長さと力(長さ、質量、時間の基本量からの組立て単位)の力学系の基本量だけを用いて導くことができるため絶対測定である。

- 互いに1m離れている2本の平行導線に同じ向きの等しい電流Iを流す。このとき、電線1の電流によって電線2の導線上に磁界Bが発生する。磁界中Bを電流Iが流れる導体2には、図のような方向に次式で与えられる引力F2が働く。

ここで、μ0は真空中の透磁率(μ0=4πx10-7)、dは導体間隔、lは導体の長さである。電線2の電流によって電線1の導体に働く力F1も同様でありF2に等しい引力が働く(F= F1=F2)。未知の電流Iを流したときの力Fを測定することにより、電流Iの大きさを知ることができる。例えば、F2=2x10-7[N] と測定された場合、電線の長さl=1[m]、電線間隔d=1[m]を上式に代入することにより、電流Iは、I=1[A] になる。
以上の測定原理に基づいた実際の測定器として電流天秤がある。2本の無限長電線の代わりに、測定したい電流を、直列接続された可動コイルと固定コイルの各々に流す。可動コイルと下部固定コイルとの間に引力、上部の可動コイルとの間に斥力が働き、その力を天秤で測ることにより電流を測る(講義資料の電流天秤の図を参照)。
(3)

- 2本の信号線をより線にして配線する。これにより、磁界のループ面積が狭くなること、誘導された磁界の向きが交互に逆になり磁界が打ち消されるため、誘導電磁界による雑音の混入を防ぐことができる。
別回答:異種の金属の接触の際、双方の間に温度差があると熱起電力が生じる。信号源と測定器の間を信号線で接続する際に、各接点間での熱起電力による雑音を小さくするよう、全体を一定の温度に保ったり、熱起電力が小さくなるような材質を選定する。
- 信号源、測定器の周りをシャーシ(導体でできている箱)で囲む。信号線も、アース側がシールドの役割をしている同軸ケーブルを用いる。これらの、対策により、静電誘導や電磁波による雑音の混入を防ぐことができる。
- 外部雑音は図のような信号源と測定器に 共通の大きさで混入するコモンモード雑音の形で混入する場合が多い。このコモンモード雑音は、図のように信号源および測定器の片方の端子をを共通アースに接地する。この結果、コモンモード雑音が短絡されることになるから、雑音の影響を取り除くことが可能になる。
(4)
- テブナンの等価回路の内部抵抗Rsは、10[V]の電池を短絡した場合の、端子間の抵抗。すなわち、6kΩ,4kΩ,2.4kΩ の3つの抵抗が並列接続された場合の合成抵抗であるから、
Rs=1/(1/6+1/4+1/2.4) [kΩ] =1.2[kΩ]
一方、等価回路の電源電圧Esは、端子開放状態での端子間電圧であり、
6kΩと4kΩの並列抵抗と、2.4kΩの抵抗の直列接続回路における、2.4kΩ の抵抗の両端の分圧比に電源電圧を掛け算することにより計算できる。
Es=10[V]×2.4/{6・4/(6+4)+2.4}=5[V]
- テブナンの等価回路を用いると、電圧VはRsとRvの直列回路のRvの両端の分圧電圧であるから、

- 電圧計接続前の電圧V0は、V0=5[V]。(2)で求めた電圧計接続後の電圧Vを用いて、両者の誤差は、

或いは誤差率で表した場合は、

- 誤差率εが1%以下になるためには、

上式をRvについて解くことにより、
