平成18年11月20日
「中間試験問題」
1.計測法の原理は、偏位法と零位法のいずれかに分類することができる。
(1) 偏位法と零位法の各々はどんな原理に基づいた方法か説明せよ。
(2) 各々の長所、短所を説明せよ。
(3) 各々の原理に基づいた電圧測定器の例を挙げよ。
2.電流の絶対測定法に関する以下の設問に回答せよ。
(1)1Aの電流の定義を述べよ。
(2)絶対測定とは何か? 電流の場合を例に、絶対測定の定義を説明せよ。
(3)電流を絶対測定するための測定法を挙げ、その測定原理を説明せよ。
3.信号源と測定器を信号線で結ぶことにより、信号源の端子電圧を測定する。
その際、外部雑音の混入を防ぐためにどのような対策を施せばよいか。
(i)信号線(配線)、(ii)シールド、(iii)アースの各々について、
雑音対策を施した状態の測定回路を図示せよ。さらに、各々について、
雑音を防ぐことのできる原理を説明せよ。
4.内部抵抗Rvの電圧計を用いて図の端子AB間の電圧を測定する。
(1) 端子ABから左側の信号源回路(電圧計を接続する前の回路)をテブナンの等価回路を用いて表せ。
(2) 接続後の端子電圧VをRvを用いて表せ。
(3) 電圧計の負荷効果による電圧測定の誤差(電圧計の接続の前後の端子電圧の差)を求めよ。
(4) 誤差率を1%以下にするためのRvの条件を示せ。
平成19年1月29日
「期末試験問題」

1.図のように被覆電線を塩水中に浸して、被覆の絶縁抵抗(芯線と被覆外側の間の抵抗)を測定したい。測定法、 測定の原理、考え方を説明せよ。ただし、解答には以下の点を盛り込むこと。
(1) 端子L,G,Hと電流計、電池の接続図を図示せよ。
(2) 保護線Gは何のためにあるか?
(3) なぜ塩水に浸すのか(水ではなく塩水を使う理由を含めて)。
2. 図はコンデンサの容量をその損失分(コンダクタンス)
を含めて測定するためのLCRメータ回路である。
(1) Cx, gx, Cs, gsは各々何を表しているか。
(2) コンデンサの容量とそのコンダクタンスの測定方法を説明せよ。
(3) 本測定法では、浮遊容量の影響を受けない利点がある。その理由を説明せよ。
3. オシロスコープの10:1プローブについて以 下の設問に解答せよ
。
(1) 図は10:1プローブおよびオシロスコープの入力段の等価回路を示す。ここで、V1は測定電圧、ABはプローブの入力端子、CDはオシロスコープの入力端子である。C1,R1,R0,C0はそれぞれ何を表しているか。
(2) プローブは何のためにあるか(プローブを 使わなかった場合、どのような問題が発生するか)。
(3) C1,R1をどのように選べばよいか(式の結果だけでなく、式を導く際の考え方、導出過程を説明せよ)。
(4) C0=54 pF,R0=1M のとき、C1,R1の値を定めよ。
4. デジタルオシロスコープに関する以下の設問に解答せよ。
(1) デジタルオシロスコープの原理を説明せよ(特に、アナログオシロスコープとの違いに焦点をあてて説明すること)。
(2) デジタルオシロスコープだけにあり、アナログオシロスコープでは実現できない機能を列挙せよ。
(3) デジタルオシロスコープのAD変換に伴う測定誤差について説明せよ(誤差の原因、誤差の計算式、誤差を小さくするための条件などを具体的に示すこと)。
追加問題
追問1.以下の測定器から一つを選び、回路構成図を示すとともに、計算式、測定原理を説明せよ。
・デジタルマルチメータによる抵抗測定、 ・ケルビンダブルブリッジ
・三電圧計法による電力測定、 ・電流力計形電力計
・デジタルサンプリング式電力計、・誘導型電力量計
・ヘテロダイン法によるスペクトルアナライザ
追問2. 
(1) リアクタンス素子の直列回路から並列回路への等価変換公式を示せ。
(2)コイルは、リアクタンスRs+j Lsをもつ直列等価回路で表すことができる。上記(1)の変換公式を用いて、並列等価回路の回路定数Rp, Lpを求めよ。さらに、コイルのQ が十分大きいという条件のもとでRp, Lpが次式で近似できることを示せ。
Rp〜Q2Rs Lp〜Ls
追問3.オシロスコープの入出力特性を図のようなRC回路で模擬する(Viはオ
シロスコープに加えた入力電圧,Voはオシロスコープに表示される出力電圧とする)。
(1) 周波数fの正弦波を入力したときの、入力Viと出力Voの関係式導け。また、周波数特性(周波数fとVo/Viの関係)の概略を図示せよ。
(2) RC回路のカットオフ周波数 fc はいくらか。
(3) 3%以下程度の振幅の測定精度を実現したい。測定周波数をfとするとき,fcはfの何倍以上あればよいか。
追問4.デジタルオシロスコープに使われるA/D変換器の種類を列挙して、各々の方式の原理をその回路図を示しながら説明せよ。また、各々の方式の変換速度と回路規模(ビット数に対するコンパレータの数)のトレードオフ関係について説明せよ。