公的年金の支給総額(年金総額)が2009年度に初めて50兆円を突破し、名目国内総生産(GDP)に対する割合が1割を超えたことが、厚生労働省の調査で分かった。年金の受給者数が3703万人と前年度と比べ3.1%増える一方、支え手である加入者は0.9%減の6874万人に減った。現役1.8人で受給者1人を支える構図で、制度の存続が揺らいでいる。新たな財源対策とともに、年金の給付抑制も課題となりそうだ。
年金総額とは、09年度末で年金をもらっている高齢者の1年分の年金額を合計したもの。国民全員が加入する基礎年金、会社員の厚生年金、公務員の共済年金、福祉年金が含まれる。09年度の年金総額は約50兆3000億円と前年度と比べ2.8%増えた。10年前と比べ3割以上膨らんだ。
■団塊の受給で15年度2割増
1947~49年のベビーブーム期に生まれた約700万人の団塊世代が年金を本格的にもらい始める12年以降、年金支給額はさらに拡大する。厚労省の推計によると、年金給付費は15年度には59兆円と約2割増える。25年度には65兆円まで膨らむ見通しだ。
名目GDPに占める年金総額の比率も05年時点の9%前後から10%を超えた。05年時点で米国の同比率は6%、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均で7.2%だった。
制度別にみると、基礎年金は前年度比3.9%増え約18兆円となった。厚生年金は2.3%増の約25兆5000億円。共済年金は約6兆6000億円で1.9%膨らんだ。公的年金の受給者数は3703万人(制度間の重複除く)。厚生年金の伸びは5.5%増の2814万人と2年連続で5%台の伸びとなった。
政府は年金財政を安定的に運営するために、基礎年金への税の投入割合を3分の1から2分の1に引き上げたが、厳しさは今後一段と増す見込み。高齢化の進展で年金受給者は今後ますます増加し、支え手である加入者数の減少傾向が強まるためだ。今回の調査でも公的年金の加入者数は全ての制度で減少。厚生年金の加入者数は3425万人で前年度と比べ0.6%減った。
GDP、公的年金
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