ソマリア海賊:戦力増強の必要性が議論の的に

軍事物資の支援を行う艦艇も必要

 アデン湾周辺海域でサムホジュエリー号人質救出作戦は成功したが、現時点で韓国型駆逐艦1隻しかない清海部隊の戦力が果たして適正な規模なのかについて、疑問の声が上がっている。

 清海部隊には2009年3月に4500トン級の韓国型駆逐艦(KDX2)「文武大王」が第1陣として派遣され、それ以来6カ月ごとに4500トン級駆逐艦1隻が交代で任務に当たっている。今回救出作戦を行った駆逐艦「崔瑩(チェ・ヨン)」は清海部隊の第6陣で、昨年12月末に第5陣の「王建」と交代した。

 人質救出作戦や海賊掃討作戦の効率性向上のためには、2-3隻の大型艦艇が必要との指摘も一部では出ている。韓国から1万キロ以上も離れた海域で長時間にわたり作戦を遂行するには、物資の支援を行う艦艇も必要で、また救出作戦を実行する際にも、最低でも2隻がなければ陽動作戦などできないということだ。アデン湾周辺海域で海賊を警戒する活動を行っている日本、中国、ロシアなども、2隻から3隻の艦艇を派遣している。

 ところが現時点での韓国海軍の力量を考慮した場合、大型艦艇1隻以上を追加で派遣するのは現実的に難しい。清海部隊のように遠洋で任務を遂行するには、1000トンから2000トン級の小型艦艇では難しく、4000トン級以上の艦艇が必要となる。ところが現在、韓国海軍が保有する4000トン級以上の艦艇はKDX2が6隻と、7600トン級イージス艦が2隻(「世宗大王」と「栗谷李珥〈イ・イ〉」)だけだ。しかしこの2隻のイージス艦は、北朝鮮に対する抑止力として重要な役割を果たしているため、遠洋に派遣するのは難しい。そのため海賊を警戒する任務には、韓国型駆逐艦6隻が交代で現地に行くしかない。韓国軍当局は「清海部隊に派遣されているのは1隻だが、実際は6隻の半分に当たる3隻がこの任務に投入されているため、追加の派遣は難しい」と主張している。釜山の海軍作戦司令部からアデン湾までは、移動するだけで4週間かかることから、韓国型駆逐艦1隻は往復移動だけで2カ月近い時間が奪われる。しかも任務を終えた艦艇は一定期間、整備が必要なため、結局は3隻が清海部隊の任務に当たらなければならないことになる。

 この結果、2014年に予定されている2300トン級次期護衛艦投入時期を前倒しし、これを北朝鮮への抑止として投入すべきとの指摘が出ている。これに伴って大型艦艇をソマリアなど海上交通路警備に関連する国際的な任務に投入するか、あるいは海賊対策を専門に行う低価格の艦艇を建造すべきとの主張も相次いでいる。さらに今回の作戦で活躍したリンクス・ヘリに関しても、乗組員数が制限された小型ヘリのため、米軍のSH‐60クラスの中型ヘリ導入が新たに必要との声もある。

 金寛鎮(キム・グァンジン)国防長官は24日の会見で、「遠洋での活動が可能な4500トン級駆逐艦は6隻しかない。ここから1隻が追加で投入されれば、韓半島(朝鮮半島)防衛の任務に支障が生じてしまう」と述べた。一方、物資の支援を専門に行う艦艇を追加で派遣する案については、「きょうの国会でもそれに関する質問が出たが、これに対しては“総合的な観点から検討する”と答弁した」と述べた。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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