「韓流ミステリー　失踪女性はどこに？」の記事詳細：イザ！

【週刊韓（カラ）から】

　今年１月１日、韓国北東部江陵（カンヌン）の港町で韓流ファンの日本女性が失踪（しっそう）した。韓流ドラマのロケ地を熱心に巡る日本人は多いが、失踪した神奈川県藤沢市、棚橋えり子さん（５８）もそんな１人だ。パタリと消息が途絶え、４カ月近くたつ。心配する棚橋さんの家族がこのほど現地入りし、手がかりを求めてチラシを配って歩いた。一体、棚橋さんはどこに消えたのだろうか。（韓国北東部・江陵　水沼啓子、写真も）

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記事本文の続き　棚橋さんは昨年１２月２８日、個人旅行で韓国入りし、ソウル江南区内のホテルに宿泊。１月１日朝、ホテルの従業員に「冬のソナタ」のロケ地、春川（チュンチョン）への行き方を聞いていたという。近くの東ソウルバスターミナルから高速バスを利用して、１人で目的地に向かったとみられる。

　実際に春川を訪れたかどうかは不明だが、１日夕方にはソウルから２００キロ以上離れた江陵にいたことが確認されている。この日、日本にいる友人に「バスで江陵に来た」とメールしていることから、高速バスを利用して江陵入りしたとみられる。

　江陵には、韓流スター、リュ・シウォン主演ドラマ「真実」のロケで使われた“赤い灯台”があり、この灯台を見るのが目的だったようだ。大みそかと元旦を家族と過ごさず１人旅する主婦も珍しいと思ったが、５年前に棚橋さんの夫が他界。韓流ドラマと韓流スターの追っかけが生き甲斐になっていたという。

　棚橋さんはリュ・シウォンの大ファンでよく韓国を訪問し、ロケ地巡りをしていた。家族の話によると、これまで１０回以上訪韓。少し韓国語も話すという。友人と一緒のこともあるが、１人で訪韓することもあったようだ。

　しかし、なぜか棚橋さんはロケ地となった沙川津（サチョンジン）にある赤い灯台ではなく、１０キロほど離れた注文津（チュムンジン）の白い灯台を、この日午後６時ごろに訪れ、灯台の写真を日本の友人にメールしている。「白い灯台はロケ地ではないので、間違って別の灯台にきてしまった可能性もある」（警察関係者）という。

　棚橋さんは白い灯台から少し下ったところにある刺し身店に午後７時ごろ１人で立ち寄り、焼酎と鍋料理を注文。約１時間後の午後８時に店を出た後の消息が途絶えた。

　店のちょっと先には海岸が広がり、防波堤から海側に下りることも可能だ。ただ周辺には消波ブロックが積み上げられており、「たとえ誤って海側に落ちたとしても自力で上がってこられる」（日本側警察関係者）という。

　注文津は日の出が有名で観光地にもなっている。当日は元旦ということで昼間はかなりの人出でにぎわっていたというが、夜は観光客も引き揚げてひっそりとしていたという。棚橋さんが最後に目撃された刺し身店から、みやげ店などが立ち並ぶ注文津の港までは１キロほど。歩いても行ける距離だ。

　地元警察は「バスターミナルの監視カメラに棚橋さんが写っているという噂もあった」と話していたが、日本側警察関係者は「そんな情報を地元警察から聞いていない」と否定する。

　地元警察によると、８時１０分発のソウル行きの高速バスの運転手が、棚橋さんらしき人を乗せたと証言しているという。ただ運転手が見たという女性は白いハーフコートを着ていたというが、当日、棚橋さんが着ていたのは白いロングコート。本人である確証はない。

　また、地元警察は「タクシーの運転手にも捜査協力を求めたが、何の情報もなかった」と家族らには報告しているという。しかし、失踪現場取材のために私が乗った地元タクシーの運転手は「日本人女性が失踪したなんて初めて聞いた。そんな話があれば、タクシー仲間の間ですぐに広がる」とまったく知らない様子だった。

　警察関係者らによると、棚橋さんの失踪は（１）事件か事故に巻き込まれた（２）自殺（３）生存しているが何らかの理由で身を隠している－の３つの可能性が考えられるという。

　棚橋さんの長女、まどかさん（３７）は「『慣れたころがいちばん危ないから気をつけてね』と母を送り出したのに、こんなことになって」と言葉を詰まらせていた。

　今回失踪現場を訪れた、まどかさんら家族は「１日も早く母を探し出したい。当日午後８以降の足取りが分からないので、新しい情報があれば協力してほしい」と呼びかけ、地元のみやげもの店などにチラシを配って歩いていた。

　リュ・シウォンの大ファンだったという棚橋さん。ファンの間でも熱心な追っかけで有名な存在だったという。棚橋さんの失踪について、リュ・シウォン本人のブログ（韓国語）も、日本の公式ファンサイトも１６日現在、何も触れていない。

　リュ・シウォンの事務所側は、棚橋さん失踪によるイメージダウンを心配しているようだ。「母がリュ・シウォンさんのファンだったということは記事にしないでほしい。事務所側の要請です」（棚橋さんの家族）。

　一部メディアには　リュ・シウォンのファンということがすでに報じられている。これだけ日本では大騒ぎになっていて、大切なファンの１人が失踪したのだから「早く見つかってほしい」「胸が痛む」といったリュ・シウォン自身のメッセージがあってもいいような気もするが…。これでは一生懸命応援してきたファンの身もつらい。