ライフ【産経抄】1月20日2011.1.20 03:11

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【産経抄】
1月20日

2011.1.20 03:11

 俳優の小沢昭一さん(81)が中学生のころの話だ。校庭の桜の木にたかる毛虫をポケットにつめて、授業中にばらまき大騒ぎになったことがある。担任の先生は早速、小沢さんの母親を呼び出した。

 ▼「お袋が一言、『面白い子じゃないですか』(笑)。先生もそれで呆(あき)れ返って(笑)その話はもうそれでオシマイ」。民俗学者の神崎宣武(のりたけ)さんとの対談で語っている(『道楽三昧』岩波新書)。当時としては、珍しい母親だろう。たいていは先生に恐縮して、息子にげんこつをくらわしたものだ。

 ▼いずれにしても、たいていの出来事が「それでオシマイ」で、後腐れはなかった。そんな学校と保護者の関係が、どこでねじ曲がってしまったのか。埼玉県行田市立小学校の女性教諭が、度重なるクレームを受けて不眠症に陥ったとして、担任している3年生の女児(9)の両親を提訴していたという。

 ▼以前からモンスターペアレンツと呼ばれる親からの、激しいクレームに苦慮する教師の例は報告されてきた。平成18年には東京都内の公立小学校に勤務する、2人の新任の女性教諭が相次いで自殺している。

 ▼もちろん、女性教諭の言い分を鵜呑(うの)みにはできない。訴えられた両親は、教諭が女児へのいじめを助長していると反論する。別のケースでは、いじめの問題を担任に相談しただけで、モンスターペアレンツ扱いされたと訴える人もいた。

 ▼かつて教師は、教え子だけに向かい合っていればよかった。そういえば、師弟愛という言葉も、最近とんと耳にしない。小沢さんが俳優になったきっかけは、中学時代に開いた演芸会だった。終戦直後、栄養失調でふらふらしている先生を、慰めるためだったという。

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