ライフ【産経抄】1月19日2011.1.19 03:15

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【産経抄】
1月19日

2011.1.19 03:15

 時代とともに意味が正反対に変わる言葉がある。「気が置けない」は、「気を許してつきあうことができる」様子をあらわす言葉だったのが、「気を許してつきあうことができない」様子だと誤用する人が激増し、今では辞書にさえ両論併記されている。

 ▼「心眼」も意味が正反対に変わりかねない言葉になった。きのう江田五月法相は、政権交代実現の原動力となった一昨年夏の民主党マニフェスト(政権公約)について「心眼で見るとこうじゃないか、ということでつくった部分がある」と語った。

 ▼どうやら江田さんは、「心眼」を実際の状態や情報を肉眼で見ずに、自分勝手に空想するさまという意味にとったようだ。本当は「当てずっぽうでつくった」と言いたかったのだろうが、まったくの誤用である。

 ▼心眼の意味は、「物事を見きわめる、鋭い心の働き」(新明解国語辞典)だ。広辞苑など他の辞書も同じような解釈を記している。民主党が心眼を開いてマニフェストをつくっていたのなら、今ごろ「当時は十分な情報を得ていなかった」と言い訳しないですんだはずだ。

 ▼マニフェスト通りなら、子ども手当は4月から月額2万6千円になるはずだったし、ガソリン税の暫定税率もとっくに廃止されていた。公務員の人件費2割カット、衆院の定数80削減に至ってはまともな議論すらされていない。

 ▼江田さんは拉致事件の実行犯、辛光洙(シン・ガンス)元死刑囚の釈放嘆願書に署名した過去を謝罪したが、民主党の「マニフェスト詐欺」も盟友の菅直人首相ともども国民に謝るべきだ。辞書のマニフェストの項に「政権をとるため、できもしない口約束を並べた薄っぺらい冊子」という解釈が載らないためにも。

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