日本が世界第2位の経済大国に躍り出た1968年、中国は文化大革命のまっただ中にあった。胸に「反革命分子」などと書いたプラカードをつるされ、年端もいかぬ紅衛兵に糾弾される大人たち。そんな騒乱が全土に広がったころだ。
▼無数の犠牲者をだした文革は中国の発展を大きく遅らせた。ところがやがて混迷を抜け出し、改革開放路線に転じてからは生まれ変わったような高成長ぶりだ。昨年の国内総生産(GDP)は前年比10.3%増。ついに「世界第2位」の座を日本から奪ったのが確実だという。往時、だれが今日を予想しただろう。
▼これほどの経済大国がしかし、共産党の一党独裁体制のままだ。それもまた、かつて想像できなかった姿に違いない。政治的な自由と人権は封じ込められ、劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式には家族も出られなかった。強まるメディア統制は、先日の本紙によれば「文革以来の弾圧」とささやかれるほどだという。
▼芥川賞作家の楊逸さんが、月刊誌「文芸春秋」に祖国の民主化を切望する一文を寄せている。文革で家族を引き裂かれた体験を持つ楊さんは「一刻も早く自由にものが言える世の中に」と訴えてやまない。国賓として訪米した胡錦濤国家主席の笑顔と、そこに見え隠れする強面(こわもて)と。私たちの隣に、この大国はある。
楊逸、中国、GDP、胡錦濤、経済大国、文芸春秋、まっただ中、文化大革命、プラ、春秋
日経平均(円) | 10,345.11 | +70.59 | 24日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 11,950.06 | +78.22 | 24日 11:41 |
英FTSE100 | 5,943.85 | +47.60 | 24日 16:35 |
ドル/円 | 82.34 - .36 | -0.49円高 | 25日 1:35 |
ユーロ/円 | 112.62 - .66 | +0.10円安 | 25日 1:35 |
長期金利(%) | 1.230 | +0.020 | 24日 16:30 |
NY原油(ドル) | 89.11 | +0.25 | 21日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載 詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)