ベトナム共産党は5年に1度の党大会を開き、グエン・フー・チョン書記長(66)ら新しい指導部を選出した。ベトナムはいまや有力な新興市場と目されるが、最近は急激なインフレや経常赤字の拡大など経済運営で問題も目立っていた。新指導部は持続的な成長につながる経済政策の策定と実行力を問われる。
チョン書記長は北部出身の保守穏健派。一方、南部出身の改革派、グエン・タン・ズン首相(61)は続投する見通しとなった。同じく南部出身の改革派で日本の政財界に知己の多いチュオン・タン・サン党書記局常務(61)は、国家主席に就任することが内定した。
保守派と改革派のバランスに配慮した布陣といえる。一党独裁を堅持しながら高成長を保ち、2020年に工業国の仲間入りを目指す基本路線は変わらないだろう。
新指導部にとって喫緊の課題は経済面の不安解消だ。足元の消費者物価上昇率は年率で2ケタに達し、経常赤字は膨らみ続けている。
昨年後半、国営の大手造船会社が44億ドルの債務を抱えて経営危機に陥ったこともあり、国際的な格付け会社は相次いでベトナム国債を格下げし、通貨ドンの相場は急落した。
中国やブラジルなど世界の有力新興国の多くが自国通貨の上昇圧力に苦慮しているなか、ベトナムは対照的な展開になっている。中長期的な成長力を疑問視する声は少ないが、財政・金融政策の規律回復は欠かせない。国営企業の放漫経営や腐敗のまん延もただす必要がある。
経済運営で新指導部の力量がまず試される。政治の透明性を高めるための民主化推進も大きな課題だ。
日本はベトナムにとって最大の援助国だ。原発建設を日本企業が受注することも決まり、中国からの供給に不安が出たレアアース(希土類)の共同開発が始動するなど、日本の成長戦略にとってベトナムの重要性は高まっている。
ベトナムは日本に先駆けて環太平洋経済連携協定(TPP)への参加交渉を始めた。安全保障面では中国の海洋進出にどう対処するかという課題を日本と共有する。新体制発足を踏まえ、日本はベトナムとの関係を戦略的に深めていく必要がある。
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