国際【主張】米中首脳会談 まだ残る対中配慮は残念2011.1.21 02:38

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【主張】
米中首脳会談 まだ残る対中配慮は残念

2011.1.21 02:38

 オバマ米大統領と訪米した中国の胡錦濤国家主席の首脳会談が行われ、「前向きで協力的で包括的関係の構築」をめざす共同声明を発表した。

 会談は経済・通商、北朝鮮、イラン、環境など広い分野に及んだが、人権問題や為替政策はすれ違いに終わった。とりわけ東シナ海や南シナ海などで中国海軍が力ずくで海洋権益を拡大し、日本や東南アジアの懸念を深めている問題に共同声明で詳しく触れなかったのは、極めて残念といわざるを得ない。中国にアジア太平洋の平和と安全に責任ある行動を求めるために、日米両国が一層緊密に連携して同盟の強化と充実に努める必要がある。

 オバマ氏が初訪中した2009年11月の首脳会談では、米中協力の可能性に期待しすぎて人権などに深入りしなかった。また「核心的利益の尊重」(共同声明)という言質もとられるなど、米国民の失望と批判を浴びた。

 こうした反省から、オバマ政権の対中姿勢が前回よりも現実的になったことは当然といえよう。

 オバマ氏は首脳共同会見で「中国の台頭は歓迎するが、それが紛争の原因とならず、国際ルールや規範を強化し、国際社会の平和と安全を高めるような台頭であるべきだ」と注文した。両者の会談では、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世との対話やノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏の釈放も求めたという。

 だが、胡氏は「人権面で中国になすべきことは多い」と認めただけで、「内政不干渉の原則」なしには人権対話に応じない姿勢を崩そうとしなかった。

 共同声明ではさすがに「核心的利益」の言及を見送った。だが、軍事安全保障面で軍事対話の重要性の確認にとどまったのも十分とはいえまい。北朝鮮の挑発行動の抑止、朝鮮半島非核化と南北対話促進の重要性、ウラン濃縮への懸念では一致した半面、韓国哨戒艦撃沈事件や延坪島砲撃には言及しないなど、中国側に配慮しすぎた感も否めない。

 政治・経済を含めた米中の建設的関係が国際社会に重要であることはいうまでもない。だがそれゆえにこそ、オバマ氏は中国に責任ある行動を求めるべきだったのではないか。アジア太平洋や世界で問題ある行動を起こしている中国は、結果としてさらなる覇権を追求しかねない。

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