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[ライフ]ニュース トピック:主張
【主張】タイガーマスク 心温まる日本人の優しさ
漫画「タイガーマスク」の主人公を名乗る児童福祉施設などへの寄付が今も相次いでいる。
最初は昨年のクリスマスに、前橋市の児童相談所前に「伊達直人」がランドセル10個を置いた。年が明けるや、その輪は全国に広がった。こうした心温まる善意のうねりは、日本人が誇ってよい奥ゆかしさと心根の優しさを示しているといえないか。
「タイガーマスク」は昭和45年前後に少年誌に連載され、アニメ化もされた。当時10歳前後だった少年が今の50歳代となる。虎のマスクをかぶったプロレスラー、伊達直人は、出身の「孤児院」にファイトマネーを贈り続けた。マスクは匿名の象徴でもあった。
一連の寄付には、自己満足のための偽善の押し売りではないかなどとする声もある。しかし今のところ、心配されるようなトラブルは聞かれない。物を置いていくだけではなく、双方向の継続的交流が必要だとする問題提起もあるが、まず大切なのは、そこに喜ぶ子供の笑顔があることだ。
8日の全国高校ラグビー決勝は、前半に走り回った桐蔭学園(神奈川)を、東福岡(福岡)が後半押しまくり、結局、31-31で両校が優勝を分け合った。
閉会式で、ノーサイドの笛を吹いた麻生彰久主審に両校の主将が小箱を持って歩み寄った。2歳になる麻生主審の長男、修希ちゃんが重い心臓病と闘い、米国での移植手術に向けて寄付を募っていることを知った両校関係者が集めた募金箱だった。
この正月、心を熱くさせたうれしいニュースだった。昨年10月末に始めた募金は、報道後だけで1500万円を超えた。総額も目標の1億5千万円に達し、2月に渡米を予定している。福岡市の「修ちゃんを救う会」によれば、ここにも「伊達直人」名義の募金があったという。
タイガーマスク1号がクリスマスの前橋市なら、2号は元日の神奈川県小田原市だった。「タイガーマスク運動が続くといいですね」と記された添え書きが後続を呼んだ。「矢吹丈」「肝っ玉かあさん」「桃太郎」といった仮名の広がりは、贈り主の世代の拡大を示すものでもあるのだろう。
「運動」への参加に手を挙げる企業も出てきた。中国でも大きく報じられた。どこまでも、いつまでも広がれ、と願う。
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