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北朝鮮のウラン濃縮計画への懸念表明 米中首脳会談

2011年1月20日11時39分

写真ホワイトハウスで19日、財界人らとの会合で司会を務めるオバマ米大統領(右)と胡錦濤・中国国家主席=ロイター

写真ホワイトハウスでの共同記者会見で19日、握手するオバマ米大統領(右)と胡錦濤・中国国家主席=ロイター

 【ワシントン=峯村健司、村山祐介】訪米している胡錦濤(フー・チンタオ)・中国国家主席とオバマ米大統領は19日午前(日本時間20日未明)、ホワイトハウスで会談し、北朝鮮のウラン濃縮計画への懸念を表明した。中国首脳が昨年11月に発覚した北朝鮮のウラン濃縮計画に対して公式に否定的な見解を示すのは初めて。

 計画に強い懸念を持つ米国に協調姿勢を示す狙いに加え、計画の進展が朝鮮半島のさらなる緊張を招きかねないとの判断があるとみられる。

 両首脳は「南北が誠実で建設的な対話を始めることが非常に重要」との見解で一致。6者協議の早期再開に向けた必要な措置をとるよう求める共同声明を発表した。

 オバマ氏は会談後の共同記者会見で、ウラン濃縮について「国際社会は北朝鮮が自らの過去の約束と国際的な義務に違反していることを明確にし続けることが重要だ」と強調。米国主導で検討中の国連安全保障理事会での再協議に向けて、消極的な姿勢を続ける中国に協力を呼びかけた。

 米政府当局者によると、人権問題ではオバマ大統領は胡主席に対し、ノーベル平和賞受賞者で獄中の中国人民主化活動家、劉暁波(リウ・シアオポー)氏の即時釈放を要求した。

 中国側は「人権の普遍性を認識して尊重している」と応じ、今年5月までに政府間対話を開催することで合意。しかし、胡氏は会見で「各国それぞれの事情を考慮するべきで、内政不干渉の原則を尊重するべきだ」として、劉氏釈放の要求には応じなかったとみられる。声明にも劉氏ら政治犯について明記されず、「人権問題は外交政策の重要な一部」と記されるにとどまった。

 同じく意見が対立していた人民元問題について、オバマ氏は会見で「過小評価されたままで、為替レートのさらなる調整が必要だ」として、対ドル相場での切り上げペースの加速を求めた。

 一方、米政府によると、今回の首脳会談に際して、米国から450億ドル(約3兆7千億円)超の中国への輸出につながる商談がまとまった。ボーイングの航空機200機(約190億ドル分)のほか、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と中国が連携して中国製新幹線を米国に売り込む事業の拡大、などの内容だ。オバマ大統領は「約23万5千人分の米国人の雇用が支えられる」と成果を強調した。

 また、バイデン副大統領が今夏に訪中し、胡主席の後継者となることが内定した習近平(シー・チンピン)国家副主席が、年内に訪米することも決まった。

 胡氏は会談後、オバマ氏とともに米中の財界人らとの会合に参加。同日夜にはホワイトハウスでオバマ大統領夫妻が主催した公式晩餐(ばんさん)会に出席した。ただ、ベイナー下院議長(共和党)とリード上院院内総務(民主党)は出席を辞退。米メディアによると、リード氏は地元テレビで胡主席を「独裁者」と批判したという。

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