「大相撲初場所千秋楽」(23日、両国国技館)
春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)で、一気に2人が大関昇進にからむ可能性が浮上した。貴乃花審判部長(元横綱貴乃花)が、稀勢の里、琴奨菊の両関脇について、来場所優勝か準優勝の場合、大関昇進を話し合う理事会開催を要請することを示唆した。大関昇進の目安は「三役での3場所合計が33勝以上」とされ、両関脇とも先場所が平幕だったことを考えると、踏み込んだ意見と言える。14日目で優勝を決めた横綱白鵬は大関魁皇を送り出しで下し、14勝1敗で今場所を終えた。
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日本人の新大関誕生へ光明が差した。番付編成で大きな権限を持つ貴乃花審判部長が「優勝とか、準優勝とか目立っていることが重要でしょう」と発言。稀勢の里と琴奨菊が、春場所の成績次第で大関に昇進する可能性を認めた。
平成以降に誕生した大関の中で、基点となる1場所目が平幕だった例はなく異例の発言だ。「前半からどとうの勢いになれば、そういう雰囲気になる」。前半戦での取りこぼしを禁じる条件をつけたが、2人への期待の大きさがうかがえる。
稀勢の里は、千秋楽の1勝が大きな意味を持った。激しい当たりから日馬富士を右ノド輪で吹き飛ばす圧勝。2場所連続4度目の殊勲賞に花を添えた。3度目の技能賞を受賞した琴奨菊は豪栄道に肩すかしで敗れたが、11勝した。
貴乃花審判部長の発言を聞いた稀勢の里は「まだ実感は湧かない。(大関を)意識して強くなればいいけど、しても強くならないから」と平常心を強調。琴奨菊は「刺激しあって強くなりたい」とライバルを強く意識した。
実現すれば20代の日本人大関誕生は、01年九州場所後に25歳で昇進した栃東以来となる。貴乃花審判部長は「(琴奨菊は)今日の一番が大きかったが、(大関とりは)つながってくる。稀勢の里の課題は精神的な修練」とエールを送った。若武者2人が春場所で勝負に挑む。