「大阪」(23日、豊中市ローズ文化ホール)
大阪プロレスのビリーケン・キッドが、初の自主興行のメーンで沖縄プロレスの怪人・ハブ男と一騎打ちを行った。2008年、大阪プロから分裂する形で旗揚げされた沖縄プロだったが、諸問題から両団体の関係は悪化し絶縁状態に。もう不可能とされていたライバル同士の再戦が、両者の情熱によって実現した。
まさに死闘だった。序盤から防戦一方だったビリーは、断崖式、正調、雪崩式とコウモリ吊り落とし連発で形勢逆転、さらにファイヤーバード・スプラッシュで畳み掛けるも決められない。今度はハブ男がおきて破りのベルティゴ、猛毒波布空爆で猛反撃だ。足が止まった2人はリング中央で思いの全てを込めて殴り合った。一進一退の攻防の中、ハブ男の執念の頭突き3連発で崩れ落ちるビリー。直後の亜留魔下首領はしのいだが、こん身の猛毒波布空爆を食らうと、返す力は残っていなかった。
試合後、マイクを取ったハブ男から「お前、悩んでんのか!…あんたはこれから魂込めてプロレスやってくれ!あんたは俺の最高のライバルだ!」と言葉をぶつけられると、ビリーは人目をはばからず号泣した。「全部お前の言う通りだ…(プロレスを)何のためにやってるのか分からなくなってた」と、この試合に進退をかけていたことを激白。しかし決意の表情で前を向き「ビリーケン・キッドは終わんねえぞ。もう一度大阪プロレスのトップになってみせる。そん時にもう一回やろうじゃないか!」と絶叫した。
鳴り止まぬ拍手がリングに降り注いだ。それは終幕に対するものではない。名勝負“第2章”幕開けへの、祝福の喝采だった。