サッカー日本代表の「背番号10」を託され、アジアカップに臨んだMF香川真司(ドルトムント)が苦しんでいる。ドイツでの華々しい活躍とは裏腹に、ここまで精彩を欠くプレーが続く。「結果を出すしかない。早く点を決めたい。期待に応えないといけない」と気持ちがはやる。
香川は今大会、左の攻撃的MFとして2試合に先発。初戦のヨルダン戦では前半に2度の決定機を逃し、続くシリア戦は後半20分に交代を告げられた。「コンディションはまだベストではない」と話すように、やや動きが重い。空いたスペースを見つけ、相手DFの間をすり抜ける動きを得意とするが、ゴール前に二重、三重と人垣を作る相手の守りに手を焼く。「アジアの難しさを感じている。なめていたつもりはないが、自信があったので……」と現実を受け止める。
悩む香川に、ザッケローニ監督は15日の練習後、声を掛けた。「自由にやれ」--。以前にも同様のアドバイスがあったが、そのやり取りの直後、香川の言葉に変化があった。「最初からすべてうまくいくわけじゃない。周りと合わせたきれいなサッカーではなく、もっと個人のストロングポイントを出してもいい」。気持ちが少し晴れてきたようだ。
17日のサウジアラビア戦は、チームにとっても、自身にとっても「勢いに乗るために大事な試合」と香川。重圧を乗り越え、輝きを取り戻せるか。【江連能弘】
毎日新聞 2011年1月17日 9時31分(最終更新 1月17日 11時41分)