岡崎ハットで日本８強！３度目３発でカズに並んだ…アジア杯

前半８分、先制のゴールを決め吉田に抱きつき喜ぶ岡崎

　◆アジア杯　▽１次リーグ・Ｂ組　日本５―０サウジアラビア（１７日、ドーハ・アルライヤン競技場）　日本代表ＦＷ岡崎慎司（２４）＝清水＝がアジア杯１次リーグ最終戦のサウジアラビア戦で、自身代表３度目となるハットトリックを達成した。今大会初先発のストライカーは５―０勝利に貢献し、負ければ敗退の危険性もあった日本をＢ組首位突破に導いた。１次リーグ２勝１分けで勝ち点７としたザック・ジャパンは、２１日の準々決勝でＡ組２位のホスト国カタールと対戦する。

　泥臭く、そして、豪快に。雨降る、夕暮れのドーハで岡崎が圧巻のハットトリックを決めた。

　前半８分、ＭＦ遠藤からのループパスに反応すると、サウジＤＦ陣の裏に抜け出す。右足でワンタッチ。無骨なトラップでＧＫワリードの頭上を抜くとゴールに体ごと押し込んだ。「やってやろうという気持ちがあった」。負ければ１次リーグ敗退の危険性もあった一戦でＭＦ松井の負傷などで待望の今大会初先発。Ｂ組１位を決定づける気合の一撃に神経質な表情だったザッケローニ監督も渾身（こんしん）のガッツポーズを決めた。

ピッチで指示を出すザッケローニ監督（左）

　先制点だけで止まらない。わずか５分後だ。左サイドからＭＦ香川の放ったクロスにダイビングヘッド。仕上げは後半３５分。華麗な引き技で相手を翻弄すると左足で強烈なダメ押し弾を決めた。シュート３本で３発。決定率は１００％。「ＤＦの裏を狙ってゴールを目指したい」と戦前話していた岡崎が有言実行の自身３度目のハット達成。これでＡ代表通算２１得点。尊敬する札幌ＦＷ中山雅史に並ぶ代表歴代８位となった。

　５―０大勝の立役者となった殊勲者は、２大会ぶりのアジア王者に燃えていた。今大会後、ドイツ名門シュツットガルト移籍が確定。往年のドイツ代表の名ＦＷ、ボビッチ強化部長が直接視察で現役時代の自身に酷似する泥臭さと決定力にほれ、２部降格圏の１７位に低迷する現状打破の起爆剤に指名。新天地は早期合流を求めたが、岡崎は実直に日の丸愛を貫いた。

　「アジアカップではカタールに何かを刻んできます。契約はその後でいい。侍魂を見せますよ」

２点目を決めた岡崎（中）に抱きつく（左から）本田圭、権田、森脇

　今冬の移籍市場でドイツに渡る槙野ら仲間が代表合宿を一時離れ、ドイツ入りし、契約手続きを進める中、チームに残った。岡田ジャパンで「背番号９」を手にしながらも昨年６月の南アフリカＷ杯直前から定位置を失った屈辱にも耐え、居残りシュート練習で実直な武士のように刀を磨いた。

　起爆剤はあった。愛する夫人が今月中に第２子を出産予定。母校・滝川二が全国高校選手権で初優勝。大会得点王となり、岡崎と入れ替わりで清水に加入する後輩ＦＷ樋口寛規（３年）には「絶対に優勝して下さい」と発破をかけられた。

　「優勝が目標。これで止まらない」と試合後には不敵の笑顔で堂々のＶ宣言も飛び出した。有言断行の侍・岡崎がザック・ジャパンにアジアの盟主の座をもたらす。

　◆日本代表のハットトリック　昨年１月６日のアジア杯予選・イエメン戦で記録した平山相太以来、３２回目。最多は釜本邦茂の８回で、今回が３回目の岡崎は三浦知良と並んで歴代２位となった。