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【サッカー】

香川2発 日本大逆転4強

2011年1月22日 紙面から

日本−カタール 後半25分、同点ゴールを決める香川=ドーハで(共同)

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◇アジアカップ 準々決勝

 【ドーハ松岡祐司、原田公樹】2大会ぶり4度目のアジア制覇を狙う日本代表は21日、アジア・カップ準々決勝で地元カタールを3−2で下し、4大会連続のベスト4進出を決めた。過去の対戦成績で1勝4分け2敗と負け越しているカタールに2度も先行され、後半にはDF吉田麻也(VVVフェンロ)の退場で1人少なくなる苦しい戦いとなった日本。しかし、MF香川真司(ドルトムント)の2得点で追い付き、2−2で迎えた後半44分に代表初先発のDF伊野波雅彦(鹿島)が決勝ゴールを奪って難敵を打ち倒した。

 重要警戒網を張っていたキックオフから15分間の時間帯によもやの先制被弾、まさかの緊急事態。この窮地を救ったのは、悩める男だった。

 1点ビハインドの前半28分。遠藤からの横パスを、本田圭が左足でフワリとダイレクトスルーパス。右サイドを抜け出した岡崎がGKカセムの鼻先で触ってループシュートを放つと、左サイドから猛突進してきたのが香川だった。頭でプッシュ。ネットが激しく揺れ、アルガラファ競技場は沈黙に包まれた。相手に傾いた流れを、背番号「10」が力ずくで取り戻したゴールだった。

 日の丸の重圧、アジアの厳しいマーク、不慣れなポジション…。新時代のエースとして期待されながら、絵に描いたようなどん底。ドイツでの輝きはかすみ、消えうせた。苦悩の泥沼にはまっていた。「ふがいないし、情けない」。でも、逃げ出すのではなく、眼前の現実を受け入れた。悔しさ、もどかしさ、歯がゆさも。どん底で見えた光は、反発するような思考の変化だった。

 「自分の中では、(周囲を)気にせずにもっと自分の良さを出すべきなのかなと感じている。周りに合わせるとか、きれいなサッカーとかではなく、チームとしてのサッカーも大事だけど、もっと個人としてストロングポイントを出す必要もあるのかなって思っている」

 そう語った直前、実はザック監督から背中を押されるような助言を送られている。

 「真司の特長に期待してるから、ポジションはいつもとは違うけど、その中で自由に、好きなようにプレーしていい」

 後半16分に吉田が退場、同18分にFKを決められまたもや暗転。再度訪れた危機も香川が救った。同25分だった。遠藤、本田圭、岡崎とつなぎ、こぼれ球を拾った香川が左足で冷静に沈めた。

 勢いはもう止まらない。同44分、長谷部の縦パスを受けた香川がドリブルで加速。相手GKまでかわして倒されたが、伊野波が詰めて逆転ゴールを奪い取った。

 「1点目は岡ちゃんのゴール。頑張ってくれた。正直、厳しい戦いだったが、諦めることなく闘えた。予選(1次)リーグでは得点が取れなかったのでホッとしてます」。悩みも苦しみもドーハの夜空へ吹き飛ばす、10番の大仕事だった。 (松岡祐司)

 

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