2010年11月25日 21時35分 更新:11月26日 9時39分
ソニーは25日、米国などで販売している電子書籍専用端末「リーダー」2機種を、12月10日に国内で発売すると発表した。電子書籍を読むことができる端末は、5月に国内発売された米アップルの「iPad(アイパッド)」に続いて、12月までにシャープの「ガラパゴス」や韓国サムスン電子の「ギャラクシーTab(タブ)」なども発売される予定。品ぞろえが増えることで海外メーカーを交えた競争が激化し、本格的な普及に弾みが付きそうだ。【弘田恭子、浜中慎哉】
「電子書籍はグーテンベルクの印刷技術発明以来の大きな変化。チャンスととらえて日本の書籍文化を世界に発信したい」。リーダー事業を統括する米ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニアバイスプレジデントは25日の会見でこう力説した。
発売するのは、5型画面の「ポケットエディション」と6型画面の「タッチエディション」。読んでも目が疲れにくいとされる白黒の電子ペーパーを採用し、電子書籍を約1400冊保存できる。タッチエディションは、メモリーカードを使って音楽を聞いたり写真を閲覧したりできる。
リーダー本体に通信機能はなく、パソコンにつないで12月10日に開設する専用電子書籍配信サイト「リーダーストア」で書籍をダウンロードする。リーダーストアには吉田修一さんの小説「悪人」や林真理子さんの小説「anego」など2万冊をそろえる。
ソニーが電子書籍端末市場に挑むのは2度目。04年に国内発売した「リブリエ」は、ダウンロード後2カ月しか書籍を読めない仕組みだったため、普及しなかった。アイパッド人気で広がった市場を目指しての再挑戦により、国内で年間30万台の販売を目指す。
リーダー以外にも、年末にかけて電子書籍対応端末の発売が目白押しだ。NECビッグローブがタブレット端末「スマーティア」を12月6日に発売するほか「ギャラクシーTab」や「ガラパゴス」なども発売される。リーダーのような専用端末ではなく、インターネットや動画閲覧もできる多機能型のタブレット端末が主流だが、野口氏は「リーダーは読みやすさを追求した。本を読むなら専用端末との声も多い」とシェア獲得に自信を見せた。
自社製品へのソフト配信を管理し配信サービスで収益を得るアップルのようなビジネスモデルを目指そうと、配信サービスへの参入も盛んになっている。
ソニーはKDDIなどと組んで電子書籍の配信会社を設立。リーダー向け書籍の提供を受ける。シャープはカルチュア・コンビニエンス・クラブと共同出資会社を設立。「ギャラクシーTab」を販売するNTTドコモも大日本印刷と提携し、書籍や漫画など10万点の配信を目指している。タブレット端末の国内販売を目指す東芝も凸版印刷と配信サービス開始を検討している。
現段階では各社の配信サービスは規格がバラバラだが、統一規格作りに向けた動きも進んでおり、漫画中心だった日本の電子書籍が米国並みに一般書籍も含めて普及が進む可能性が高まっている。