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◆マラソンの42.195キロはどうやって測るの?
なるほドリ 最近は市民マラソンブームで各地に新コースができているね。42・195キロの距離は、どうやって測るの?
記者 自転車の前輪に距離カウンター(回転測定器)をつけて走ったり、長さ50メートルの鋼鉄製ワイヤで路面に印をつけながら「尺取り虫」のように進む方法があります。1964年の東京五輪当時は手の中指程度の太さの竹尺で測ったそうです。
ワイヤ方式は、50メートルずつ844回も計測を重ね、25人程度でも丸2日間も掛かります。時間や人手が必要なために世界的には普及せず、国際大会として公認されるのは自転車方式のみです。
日本陸上競技連盟によると、自転車方式が国内に導入されたのは88年ごろです。国際陸上競技連盟や国際マラソン・ロードレース協会(AIMS)が中心となり、04年には国際的な計測の基準もできました。公認後も5年に1回は再計測します。
Q 道路のどの部分を通ってもいいの?
A 道路の端(路肩やセンターライン)から30センチのルートを通るのが原則です。
Q 誰が測っているの?
A 国際陸連の公認公式計測員です。国内で資格を持っているのは40人で、五輪や世界選手権のコースを計測できるA級が3人、アジア大会など大陸別の大会までのB級は5人、国内レース限定のC級は32人です。
Q いつ計測しているの?
A 未明から早朝の交通量が少ない時間帯を狙って測ります。最初にワイヤで計測して国内公認コースとして申請したうえで、レース当日に選手がスタートする3分ほど前に自転車で出発し、国際公認コースの条件を満たすケースもあります。
Q 選手のすぐ前を走って測るの。
A 交通規制が敷かれた状態でないと駐車車両などがあって測りにくい場合もあるからです。ベテラン計測員によると、選手のペースが速くて、50メートル差まで迫られ、慌てて逃げ切ったケースもあるそうです。
Q 計測員の人たちも、体力が必要なんだね。
A 坂を上り切る脚力を身に着け、最後まで走り切るには、日々のトレーニングが欠かせません。パンクなどアクシデントに備え、自転車方式では3人程度で縦一列で測ります。好記録が誕生する舞台裏には、多くの人たちの支えがあるのです。(東京運動部)
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毎日新聞 2011年1月16日 東京朝刊