政治【産経抄】1月18日2011.1.18 03:03

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【産経抄】
1月18日

2011.1.18 03:03

 「正義」と「正常」。16日に投開票された鹿児島県阿久根市の出直し市長選のキーワードは、このふたつではなかったか。

 ▼3選をめざしながら敗れた竹原信一前市長(51)は、市民の平均年収をはるかに上回る市職員の給与の削減や、議員報酬の日当化などの成果を強調した。「官民格差の是正こそ正義」というわけだ。

 ▼一方、初当選を果たした西平良将さん(37)は、市政の正常化を訴えた。西平さんは、前市長が主張してきた改革の必要性は認めている。しかし議会を招集せず、専決処分を繰り返してきた強引な市政に対しては、「独善的だ」と、竹原前市長のリコール(解職請求)を推し進めてきた。

 ▼ところで、ふたつのキーワードに共通する「正」という字が、「正しさ」とは違ったニュアンスで使われる場面がある。文化人類学者の船曳建夫さんは、京都のお茶会に招かれたとき、招かれた側の代表として応接する役を「正客」と呼ぶと知り、気づいた(『一字一話』角川oneテーマ21)。

 ▼学級委員の選挙の際、黒板に並んだ「正」の字の列や、正月の「正」にも共通している。それは「何かを始める時の、中心、基礎となるようなものを表している」というのだ。阿久根市長選の結果も、「市政の基本に戻れ」という市民の声の表れかもしれない。

 ▼来月6日には、愛知県知事選、名古屋市長選、名古屋市議会解散の是非を問う住民投票という「トリプル投票」がある。阿久根市でも、20日の議会リコールの住民投票が残っている。統一地方選がそれに続く。国政選挙と比べて、国民の関心が高いとはいえない。けれど日本の立て直しのための、まさしく「基礎となるようなもの」ではないか。

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