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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】湾岸戦争20年 一国平和主義に戻るのか
クウェートに侵攻したイラクに対し、多国籍軍による湾岸戦争の開戦(1991年1月17日)から20年がたった。
当時の海部俊樹内閣は開戦直後に90億ドル(当時のレートで約1兆2千億円)を追加支援するなど、計130億ドルを支出した。しかし、人的支援といえば海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾の機雷除去のため派遣するにとどまった。
多額の資金援助にもかかわらず、日本は国際社会からほとんど評価されず、汗を流す協力を求められた。日本だけ平和であればよしとする「一国平和主義」への反省を迫られるきっかけになったのが湾岸戦争だったといえる。
日本の歴代内閣は、苦い教訓を少しずつ生かしてきた。平成4年、自衛隊の海外派遣を可能にする国連平和維持活動(PKO)協力法を成立させ、自衛隊や警察をカンボジアなどに派遣した。
13年には米中枢同時テロを受け、米軍などの軍事行動を自衛隊が後方支援するためのテロ特措法が成立し、海上自衛隊の補給艦がインド洋に派遣された。イラク戦争ではイラク特措法に基づき、陸上自衛隊と航空自衛隊がサマワなどで人道復興支援を行った。
こうした自衛隊などの国際貢献活動は現地の人々から感謝され、国際社会でも高い評価を得た。
だが、民主党政権に代わった一昨年、アフガニスタンへの5年間で50億ドル(同約4500億円)の資金援助を決定した一方で、インド洋での海上自衛隊の給油活動については中止した。積み上げてきた信用を、一気に失いかねない誤った選択だった。
「小切手外交」への逆戻りが懸念される。国際社会の平和と安定のために、日本も要員派遣などの負担を担うべきだ。それを避けていては、日本の平和と安全も守れないことを民主党政権は自覚すべきである。
国連が弱体化しつつあることも見逃してはならない。イラク軍がクウェートに侵攻した1990年8月、国連安全保障理事会は4日後にイラクへの経済制裁を決議した。北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃に対しては安保理は協議したが、それにとどまっている。拒否権を持つ中国が、北を擁護していることが背景にある。
日本は国連に過度に依存せず、自衛隊の強化と日米同盟の深化に力を注ぐべきである。
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