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[経済・IT]ニュース トピック:テレビ局・放送行政
【主張】NHK新会長 国鉄改革の手腕でメスを
一時は迷走の長期化も懸念されたNHKの次期会長選びが決着した。
24日に任期が満了するアサヒビール出身の福地茂雄現会長に続き、2代続けての外部からの起用である。新会長への就任を受諾したJR東海副会長の松本正之氏は「引き受けた以上はきっちりやる」と決意を示した。
国鉄改革などで培った経営手腕に期待したい。
NHKの会長ポストには福地氏の就任まで、内部昇格するケースが長く続いてきた。それだけに局内には、今も根強い不満があるとも聞く。だが、いまだ道半ばのNHK改革を完遂する上でも、民間からの会長起用は良い意味の刺激剤となる。役職員一丸となって新会長を支え、改革のさらなる推進に取り組んでもらいたい。
新会長に就く松本氏は、NHKと同じ公的責務を負うJR東海の経営に長く携わってきた。昨年4月までの6年間は社長を務め、自主財源によるリニア中央新幹線の本格着工などに道をつけた経営感覚は評価されている。経験と実績で会長職をこなしてほしい。
だが、いまだ官公庁に似た親方日の丸的体質や足の引っ張り合いが残るNHKという組織には、新たな覚悟でメスを入れることが必要だ。新会長には、公共放送として偏向報道を排し、国益にかなった良質で公正な番組作りへの目配りも一層求められている。
就任と同時に、早速取り組むべき課題も山積している。相変わらず後を絶たない職員の不祥事撲滅など、法令順守や企業統治の徹底に加えて、7月にはテレビ放送が完全デジタル化する。平成24年度には「受信料収入の10%還元(値下げ)」が求められている。これらの諸課題をどう解決するのか、早急な決断が迫られる。
それにしても、NHKの最高意思決定機関として今回の新会長選びに当たった経営委員会(委員長・小丸成洋(しげひろ)福山通運社長)の対応はお粗末すぎた。最終的に松本氏の担ぎ出しに成功はしたが、選考過程で後味の悪さを残した。
現会長が続投を固辞してから1年近くもあったのに、後継体制づくりの努力を怠ったそしりは免れまい。いたずらに混乱を招いた責任は厳しく問われるべきだ。今回の選考の不手際を教訓に、地方名士らの名誉職的存在となり、形骸化している経営委のあり方は、改めて見直す必要がある。
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