政治【主張】首相外交演説 日米基軸の中身は乏しい2011.1.22 02:53

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【主張】
首相外交演説 日米基軸の中身は乏しい

2011.1.22 02:53

 菅直人首相が外交演説で「日米基軸の再出発」を最優先課題に掲げた。当然だが、問題は再出発をいかに具体化させるかである。

 首相は同盟の維持・強化には「絶え間ない努力が必要だ」と述べた。若い自衛隊員や海兵隊員が血を流す覚悟で任務にあたっていることに思いを致す点などを指しているようだが、同盟強化の阻害要因を取り除かない限り説得力を持たない。

 具体的には日米関係の悪化を招いた米軍普天間飛行場の移設問題で、日米合意に基づく辺野古移設を実現するメドが立っていないことだ。

 首相は昨年12月の沖縄県訪問で辺野古移設について「ベターな選択」と語ったが、この程度の認識では問題は解決しない。

 北朝鮮から米国向けに発射されたミサイルを迎撃できないとする集団的自衛権の行使を禁じる憲法解釈の見直しにも触れなかった。このほかにも、米国との共同開発の道を閉ざす武器輸出三原則もそのままにしてきた。

 一方で、注目したいのは鳩山由紀夫前首相が掲げた「東アジア共同体構想」に言及しなかったことだ。この構想は、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)などによる多国間協力の枠組みに、貿易や経済に加えて安全保障の要素も加えようというものだ。

 対中関係を重視する鳩山氏が提起し、米国への「過度の依存」を指摘したことなどから、米国排除につながりかねない構想として米側に強い不信感を与えた。

 菅首相も就任時には、鳩山氏の構想を継承する姿勢を示していたが、日米同盟を「政権交代にかかわらず維持・強化されるべき」ものと位置付ける以上、鳩山氏の路線との決別は当然である。

 昨年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件については「極めて残念な出来事」で片づけた。

 中国の漁業監視船が尖閣沖の領海ぎりぎりを航行するなどの活動を繰り返している。領海に入って居座った場合、退去を呼びかけるしかない状況をどうするかという課題には触れていない。

 首相は日本だけが平和ならよいという「一国平和主義」は間違っているとも語った。民主党が野党時代にインド洋での海上自衛隊による補給活動に反対し、政権交代後には活動を打ち切ったことへの反省が聞きたい。

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