政治【産経抄】1月22日2011.1.22 02:51

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【産経抄】
1月22日

2011.1.22 02:51

 強制起訴される日が迫っている小沢一郎氏が「チャーチルに比べれば、まだまだできる」と周囲に語ったらしい。1945年の総選挙で負け首相を退いた英国のチャーチルは6年後、76歳で政権に返り咲いた。68歳の自分には十分チャンスがあると言いたいのだろう。

 ▼20世紀を代表する政治家に自らを重ねるとは、大した自信である。それはともかく、ノーベル文学賞も受賞した名文家にして名演説家のチャーチルが野党時代に残した言葉は、戦後の東西対決を象徴するものとして有名だ。「鉄のカーテン」である。

 ▼1946年、米国の大学で講演したときこう語った。「バルト海からアドリア海まで大陸を横断して鉄のカーテンが下りた」。言うまでもなく、西側・民主主義国の論理をまったく受けつけないソ連など社会主義国のかたくなさを批判したのだ。

 ▼時は移り、胡錦濤国家主席と米中首脳会談をしたオバマ大統領も同じような嘆きを抱いたかもしれない。民主活動家、劉暁波氏の釈放など、中国の人権問題の改善を迫ったのに対し「常に人権擁護に努めてきた」と返す。「暖簾(のれん)に腕押し」だったらしい。

 ▼共同記者会見でも、胡錦濤氏は人権問題の問いには答えず「質問が聞こえなかった」とすましていたという。そんな質問が出ること自体、心外というふうにも見えた。非民主国の代表がソ連から中国に代わっても、「鉄のカーテン」は健在のようだ。

 ▼冷戦が始まったかどうかのころ、東西の価値観の違い、溝の深さを指摘したチャーチルはさすが政治家だ。一方の小沢氏はそんな違いには目もくれず大訪中団を率い「友好」に勤(いそ)しんできた。チャーチルを目指すなら、そのくらいの眼力はほしい。

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