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京都で開催中「人体の不思議展」展示巡り大学教授が提訴

京都で開催中の「人体の不思議展」の会場入り口前にある標本のポスター

 京都市で昨年12月から開催している「人体の不思議展」の展示標本について、「違法だ」と告発を受けた京都府警が動き、厚生労働省に照会したところ、標本が法律上の「死体」にあたるとの回答があったことが19日、分かった。これを受け、同市に住む大学教授(71)が「死体が展示され、精神的苦痛を受けた」として、主催者に慰謝料を求める裁判を起こすことが判明。のべ600万人を集客する人気イベントが窮地に陥った。

 細かい筋肉がむき出しの人間や、縦割りにスライスされた“等身大”の切断面…。リアル過ぎる標本が、思わぬ騒動を巻き起こした。

 京都での開催が迫った昨年10月。「遺体に対する尊厳が守られていない」などと同展の人体標本に反対する京都府保険医協会が中止を求める声明書を発表し、同月に死体解剖保存法違反の疑いで刑事告発した。京都府警は受理していないが、厚生労働省に照会を求め、標本が法律上の「死体」にあたるとの回答を得た。

 「人体の不思議展」は、中国で献体された170あまりの人体に、シリコン樹脂などを染み込ませるなど特殊処理した標本を展示している。病院など特別な場所以外で死体を保存する場合は自治体の許可を得なければならず、同展は京都市に許可申請をしていないことも判明。京都府警は保存行為にあたるのかどうか、慎重に捜査している。

 厚労省の回答を受け、警察への告発に携わった京都工芸繊維大学の宗川吉汪(そうかわ・よしひろ)名誉教授(71)が「死体が展示されているため精神的苦痛を受けた」として、20日にも同展実行委員会に損害賠償を求め京都地裁に提訴することを明らかにした。代理人の小笠原伸児弁護士は「求める慰謝料は1万円。お金の問題ではなく、違法行為の展示をやめろということ」と説明した。

 同展の事務局関係者は「警察が動いているなんて知らなかった。私たちは標本を展示しているだけで、死体ではない」と法律違反ではないと強調。一方で「(展示終了の)23日まで、何事もなくいってほしい」と不安ものぞかせた。

 「不思議展」に関しては開催ごとに、反対する団体との“小競り合い”が起こっている。フランスでは一昨年4月に裁判所が、パリで開かれていた人体展の中止を命じる判決を下している。

 ◆人体の不思議展 人体に、シリコン樹脂などを染み込ませて特殊処理した標本を多数展示。世界で開かれ、日本では1996年に始まり、主催者の契約問題などで98年に一時中止に。主催団体の構成を変えて2002年に復活。以後、毎年全国各地で行われ、これまで600万人以上を集客。今回だけでも約5万5000人以上が訪れた。

(2011年1月20日11時31分  スポーツ報知)

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