交通安全啓発のため沖縄県・宮古島(宮古島市)と多良間島(多良間村)の19カ所に設置されている警察官型人形「宮古島まもる君」が観光PRに一役買っている。制服にヘルメット、白い顔という独特のキャラクターで昨年来、クッキーやストラップなど関連グッズが次々と誕生。地元小中学生による応援歌のCDも発売され、交通安全キャラクターとしては異例の人気を誇っている。
91年8月に宮古島地区交通安全協会が事故防止のため5体を設置。98年にはさらに10体増やした。当初は交通安全を見守る役目だったが、独特の風ぼうが「珍しい」と観光客の間で評判に。08年ごろからインターネットを通じて人気に火がつき、「宮古島まもる君」と呼ばれるようになったという。
人気沸騰に驚いたのが交通安全協会。砂川米子事務局長は「ドライブ途中にまもる君を撮影する観光客が増え、『どこにいますか』と地図を求めてくる人も出てきた。交通安全の人形が話題になるなんてびっくり」。
09年7月にストラップを販売したところ、500個が即日完売。昨年、クリアファイルや鉛筆など約10種類のグッズの販売も始まった。協会は昨年10月、立体商標登録し、使用する業者には交通安全啓発の文言を必ず入れることを条件に許可している。
砂川事務局長は「沖縄でも宮古島にしかない点が受けているのでは。この夏20歳になるので、来年の成人式にも連れていこうかと考えている」と話す。
19体は顔つきも少しずつ違い、履歴書もある。それによると、体重5キロで、台風時の立ち番勤務のため足に約400キロのおもりを装着する。協会と宮古島署交通課に所属し、階級は「警視待遇巡査長」。住民の要望に応じて設置場所が変わる「異動」もあるとか。
24時間不眠不休で交通安全を呼びかける「まもる君」。県警宮古島署の佐久田朝市副署長は「なくてはならない存在で、宮古島を守る仲間の一人」と全幅の信頼を寄せる。クッキーなどを販売している観光卸売業「魅輝舗(みきほ)」の上原日出史社長(36)は「観光客などにコンスタントに売れている。『キモかわいい(気持ち悪いけどかわいい)』ところが受けているのではないか」と話している。【佐藤敬一】
毎日新聞 2011年1月19日 14時38分(最終更新 1月19日 15時55分)