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性犯罪防止強化へ県条例検討 「再犯防げるのか」県有識者懇

性犯罪の再犯防止対策として、GPSの携帯義務化の是非を話し合った県の懇談会

 22日開かれた宮城県の「女性と子どもの安全・安心社会づくり懇談会」の第2回会合で、県は性犯罪前歴者の行動を常時監視できる条例制定の検討方針を明らかにした。衛星利用測位システム(GPS)端末の携帯を前歴者に義務付ける案には、委員から賛意の一方、実現性や実効性を疑問視する意見も出た。

 冒頭のあいさつで村井嘉浩知事は「性犯罪を未然に防ぐため、批判を恐れずに検討を進めたい」と強調。性犯罪の被害経験を公表し、被害者支援を続ける小林美佳さん(東京都)ら委員4人が、非公開で意見を交わした。
 会合後、慶大の太田達也教授(刑事政策・被害者学)は取材に対し、GPSの携帯義務化について「元加害者の権利制限につながる上、韓国など既に導入した国でも再犯を防ぐ効果が本当にあるのかは、はっきりしていない」と慎重な対応を求めた。
 その上で「派手な対策だけをしても効果は上がらない。遅れている被害者支援の対策を強化すべきだ」と、県の姿勢に注文を付けた。
 東北大大学院の沼崎一郎教授(文化人類学)は県の方針に対し「実現可能性は極めて低い。現場を知らない人が目立つ対策を思いつきで並べたという印象だ」と厳しく批判。「刑法や迷惑防止条例など現行法を活用してできることは、もっとたくさんある。行政や警察にこそ対策の徹底を義務付けるような条例が必要だ」と語った。
 小林さんは、GPSの携帯とDNAの提出を義務化する県の規制強化案について「被害女性の安心感につながる」と評価した。前歴者の学校への接近防止や捜査への活用など効果に一定の期待感を示し「性犯罪の根絶に向けた宮城の方針が広く知られることだけでも、犯罪の抑止につながる」と話した。


2011年01月23日日曜日


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