6場所連続優勝を決め、指で「6」をつくる白鵬=両国国技館で
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◇初場所<14日目>(22日・両国国技館)
横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が把瑠都をすくい投げで下して13勝1敗とし、6場所連続18度目の優勝を遂げた。1差で追っていた平幕隠岐の海(25)=八角部屋=が敗れて2敗が消え、千秋楽を待たずに決まった。6場所連続優勝は大鵬に並ぶ歴代2位の記録で、春場所は朝青龍が持つ最多の7連覇に挑む。関脇琴奨菊(26)=佐渡ケ嶽部屋=は大関日馬富士を寄り切って11勝目をマークした。
切れ味鋭いすくい投げで巨体の把瑠都を破り、白鵬がまたしても偉業を打ち立てた。親交があり尊敬する横綱大鵬(納谷幸喜氏)に並ぶ6連覇。土俵を下りる時に、横綱は万感を込めて、大きく息を吐き出した。
「うれしいのひと言。(千秋楽まで)取り終わったら報告したい」と目を細めた。若きころに「体つきが似ている」と言われて親交を深め、アドバイスを折々に受けた。「1つ1つの会話がすべて物語。自分の相撲界のお父さんと言ってもいい」と心酔する。先場所は父ムンフバトさんのモンゴル相撲5連覇に並び「本当のお父さんを超えて、角界のおやじに並んだ」と喜んだ。
激動だった昨年を乗り越えた横綱には、今場所余裕が漂った。稀勢の里に先場所に続いて負けても「(連勝を止められたショックを乗り越え優勝した)先場所の経験があるから」と、気持ちを切り替えた。最後の優勝争いの相手は隠岐の海。「入幕から4、5場所で、若干私にプレッシャーを与えてくれた。頑張りで見ている人も盛り上がった」と奮闘をたたえた。
この日の白星で、横綱としての勝利が、歴代最速(21場所と14日)の300勝に到達。北の湖(現北の湖親方)の持っていた23場所と12日の記録を大幅に更新した。200勝の到達は大鵬と同じだったが、大きく引き離した。それを聞くと「これからも稽古に励まないと」と、さらなる向上を誓った。
納谷氏には横綱に昇進した時に「宿命」という言葉を与えられたという。どんな強い力士でもいつかは引退する、という宿命。聞いた時には「横綱になったうれしさと勢いがあって」気にしなかった言葉が、横綱5年目となり頭に浮かぶ、と言う。大連勝を遂げ絶頂期にあって感じる危機感が、横綱をますます強くする。 (田中一正)
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