広島商工会議所の新しい会頭に先月、広島ガス会長の深山英樹氏(69)が就任した。長引く不況、厳しい雇用情勢の中、広島経済がどのような課題を抱え、商議所としていかに経済浮揚を図るかについて聞いた。【聞き手・樋口岳大】
--広島経済の強みは。
◆まず挙げられるのが、新しい環境へのチャレンジや起業家精神を生み出す土壌だ。例えば「カルビー」や「アンデルセン」、100円ショップの「ダイソー」、「ナルミヤ・インターナショナル」(子ども服製造販売)など、イノベーション(技術・経営革新)を武器に、世界へ羽ばたいた企業を数多く生んでいる。
また、県内のものづくり産業で、世界トップレベルの技術を持つ独創性にあふれた中小・中堅企業がかなり多い。商議所としては、創業時のサポートを充実させ、独創的な商品の情報発信や企業交流の場を設けることによって、広島の持つ「元気の種」が大きく育っていくと思っている。
--逆に弱みは。
◆マツダを頂点とする一部大企業からのピラミッド的な受注に依存した企業が多いことだ。リーマンショック(08年秋)のような外部環境の大きな変化になかなか対応できない。また、広島大の移転で、広島市内は学生が少なくなり、都市の活気が弱くなった。それにより、産学官の連携が少し希薄になってきているのではないか。
交通問題もある。広島空港(三原市)までのアクセスが、他の地方都市に比べて劣っている。
--商議所としてどのような方策に取り組んでいくか。
◆強いリーダーシップを持って経済界を引っ張ってこられた大田哲哉前会頭(広島電鉄会長)の路線を発展的に継承していきたい。世は政権交代や、グローバル化の中で変革の時代を迎えており、機敏かつ柔軟に対応することが必要だ。
会員企業のニーズをしっかりとつかみ、経営相談体制や、異業種交流会などを通じたビジネスマッチングの支援事業などを強化していきたい。
11年度が中期行動計画(3年)の最終年度であり、完遂に全力を挙げる。総合交通ネットワークの形成や他の商議所との広域連携、環境に配慮した都市づくりなど計画で掲げた22のアクションプランに取り組むとともに、次なる計画策定の準備に入りたい。
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■人物略歴
1941年、南区出身。64年に広島ガス入社、01年に社長就任。10年4月から会長を務める。広島経済同友会代表幹事を経て、10年12月に広島商工会議所会頭に選任された。
毎日新聞 2011年1月22日 地方版