宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日午後2時37分ごろ、鹿児島県・種子島宇宙センターから、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する無人補給機HTV(愛称・こうのとり)2号を搭載した国産大型ロケット「H2B」2号機を打ち上げた。約15分後、こうのとり2号を無事に予定の軌道に分離し、打ち上げは成功した。
こうのとり2号は、ISSに滞在する宇宙飛行士の食料や生活用品、日本の実験棟「きぼう」で使う実験機器などを運ぶ。種子島の水道水から精製した飲料水も積み込まれている。高度200~300キロの地球を周回する軌道に投入され、徐々に高度を上げてISS(高度約350キロ)に接近。28日未明、ISSに結合する予定。
H2Bは、JAXAと三菱重工業が共同開発した国内最大の新型ロケット。H2Aと同型のエンジンを2基束ね、打ち上げ能力をH2Aの約1.4倍に向上させた。09年9月11日の初打ち上げで、搭載したHTV1号機を軌道に投入することに成功した。
JAXAは、昨年5月に打ち上げた金星探査機「あかつき」が同12月、金星周回軌道に乗れなかった失敗を受けて特別点検を実施。H2Bでも使用し、失敗原因となった部品の安全性を再確認するなど、打ち上げに万全を期していた。【川島紘一】
H2Bロケット2号機に搭載される無人補給機HTV(愛称こうのとり)2号機には、種子島の水が積み込まれている。国際宇宙ステーション(ISS)で滞在する宇宙飛行士の飲料水になる予定だ。【川島紘一】
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、積み込まれた水は、種子島宇宙センターの水道水を純水製造装置で精製し、殺菌成分として微量のヨウ素を加えたもの。約20リットル容量の特製バッグに充填(じゅうてん)し、今回は4袋(約80キロ)を搭載する。今後、1機当たり最大約600キロを運ぶという。
ISSで利用する水の約3割は尿や汗をろ過して飲料水などに再利用するが、残りは米スペースシャトルなどで地球から運ばれている。コスト面などから発射場の水を利用することが多く、スペースシャトルもケネディ宇宙センターの水を使っているという。
5月にISSに向かう予定の古川聡・宇宙飛行士も、今回打ち上げられる種子島の水を飲む可能性があるという。遠く離れた宇宙で望郷の念に駆られないか心配だが、JAXA担当者は「精製した水はどれも同じ味で、これまで宇宙で飲まれていた水と変わりない。ヨウ素が混ざっていて若干うがい薬の味がするという感想もあった」と話す。
2011年