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まるで酢こんぶ…マイクロフィルム資料劣化に悩む図書館(2/3ページ)

2011年1月22日10時40分

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写真:劣化して波打ったマイクロフィルム=京都市、西山写す劣化して波打ったマイクロフィルム=京都市、西山写す

 国際標準化機構(ISO)は、期待寿命を100年としている。しかし、その前に波打ってしまうフィルムがある。

 主な原因は高温と多湿だ。高温・多湿状態に置かれたフィルムは、画像を記録するゼラチン層に接する「セルロースアセテート」が空気中の水分と反応して酢酸が発生し、フィルムの表面にべたつきが出て、波打ってしまう。そのまま放っておくと表面に白い粉が付き、再生できなくなる。

 大手フィルムメーカーの富士フイルム(本社・東京)によると、同社がセルロースアセテートを材料にしたマイクロフィルムの販売を始めたのは1958年。しかし、80年代後半にビネガーシンドロームが問題化し始めたため、93年には劣化しにくいポリエステルに切り替えたという。

 マイクロフィルムメーカーなどが加盟する団体は、劣化を防ぐ対策として2年ごとの抜き取り検査を勧める。その際、酢酸臭がした場合はロールを巻き直すと劣化を遅らせることができるという。時間稼ぎをしている間に、ポリエステルでできたフィルムで複製を作ったり、デジタル化したりすることを呼びかけている。

 劣化したマイクロフィルムの修復を手がける業者もいる。京都市上京区の吉岡映像は、東京や北海道の企業と共同で劣化したマイクロフィルムの修復技術を開発し、特許を出願中だ。大学などからの依頼で、すでに古文書や昭和初期の新聞を写したフィルムなど十数本を修復した。

 曲がったフィルムに熱を加えて平らにし、専用洗剤を使って表面の粉をガーゼなどでふき取る。その上で、改めてポリエステルのフィルムに複写する。同社代表の吉岡博行さんは「ひどく劣化したフィルムは修復不可能と放置されてきたが、救えるフィルムは多い」という。

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