菅首相「政治運営、問題あり」と官僚排除を転換
2011年1月22日(土)17時45分配信 読売新聞
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菅首相は21日、省庁間の政策調整について、閣僚・副大臣ら政務三役だけでなく、次官・局長らによる調整も容認する方針を示し、「政治主導」の名の下に官僚を排除してきた姿勢を大きく転換した。
2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)の見直しに続き、政権交代の旗印だった政治主導についても、軌道修正を余儀なくされた格好だ。
「皆さんとともにいい国をつくろうとしているわけだから、遠慮なく大臣、副大臣、私に対しても意見を言ってほしい」
菅首相は21日午前、首相官邸の会議室に顔をそろえた各府省の次官らに対し、終始にこやかな表情で呼びかけた。
民主党は、野党時代から官僚主導の政策立案や調整を厳しく批判してきた。09年のマニフェストでは、「政務三役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する」と明記。これを受け、鳩山政権は次官会議の廃止や政務三役会議の設置など官僚排除を推進した。
しかし、省庁をまたぐ重要政策の調整を担ってきた次官会議の廃止は、行政の混乱を招いた。鳩山政権下で提出された国家公務員法等改正案や郵政改革法案は、閣僚の一部が閣議決定直前に異論を唱え、決定が延期された。政務三役会議で決まったことが官僚に知らされないという弊害も各省で次々と表面化していた。
菅首相は21日の訓示で、「次官と政治家が積極的な協力関係を築いてほしい。現実の政治運営の中では、反省、行き過ぎ、不十分な問題が色々あった。政治家も『自分たちだけで大丈夫』では、物事が進まないことも理解している」と述べ、従来の「政治主導」の非を認めた。