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商標権・営業権の訴訟に関して

2011/01/22 公開

 <商標権・営業権の訴訟に関して>

 株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブに対する裁判について報道されていますが、当社としての裁判に対する考え方、対応について説明いたします。

 平成21年12月、当社の取締役(当時)=平成22年11月に辞任=で元甲府クラブ会長の男性から、営業権の譲渡契約に関する訴訟が東京地裁で起こされ、1年以上にわたって争われています。この訴訟は「平成9年2月1日付でチームの営業権を2億4800万円で譲渡する契約をしたが、支払われていない」として「損害賠償金などを含めた4億8449万8324円のうち内金1億円を支払え」というものです。男性は、平成9年2月1日付で男性と当社の当時の代表取締役との間で取り交わされた「契約書」を根拠としています。しかし、男性個人として当社に対し営業権の代金等を請求できる根拠が明確ではありません。
 また、男性は、法人化される前の「ヴァンフォーレ甲府」(甲府クラブ)の代表者として、甲府クラブを原告として、当社に対し、上記の裁判と同様の請求をしており、この度、商標権の使用差止めを請求に追加したとのことですが、甲府クラブを原告とする訴訟については、未だに訴状が裁判所から当社に送達されていない状況であり、当社としては、甲府クラブが原告となり得えないのではないかということについて主張していく所存です。
 そもそも、クラブの運営につきましては、当社は甲府クラブが法人化されたものであって、当社が設立された時点から当社がクラブの運営を行っているものであり、当社と男性あるいは甲府クラブとの間で営業権を2億4800万円で譲り受けるといった合意をした事実はありません。
いずれにしても、当社と男性あるいは甲府クラブとの間で「契約書」に記載されたような契約を結ぶためには、男性が当社の取締役であったことから、当時の商法(265条1項)で、取締役会の承認を得ることが必要であると定められていたところ、当社の取締役会においてそのような契約を結ぶことを承認したことはなく、「契約書」に効力はありません。
 ただ、「VENTFORET KOFU」のロゴとエンブレムの商標が男性の名義で登録されていることは事実ですので、今後も商標の使用料を支払い続けた場合のコストも考慮して、男性が保有する商標権を1億円で買い取るとする和解案を示しましたが、男性がこれを受け入れなかったことから合意に至りませんでした。
 今回の「商標権の使用差し止め」請求は、以上のような状況のもとに、上記の訴訟に追加してきたものです。
 上記の商標が男性の名義で登録されていること、当社が男性に使用料を支払っていることの経緯は、以下のとおりです。
 チームの名称は、平成7年に、当時の山梨県サッカー協会、甲府クラブ、甲府クラブを支援する会の3者が、県サッカー協会が提唱する「Jリーグ加盟構想」に基づき「チーム名をJリーグにふさわしい名称に変え、加盟に向けて県民運動の盛り上がりを期待する」として、県民から公募しました。853点の応募から、3回の予備選考委員会を経て、同年1月28日の最終選考委員会で「ヴァンフォーレ甲府」に決まりました。男性だけの考えで決まったものではありません。
 この名称決定を受けて、「支援する会」が、「VENTFORET KOFU」のロゴを作成(具体的には山日YBSのデザイナーが作成)したもので、当時、クラブが法人化されていないためにクラブとしての登録することができなかったことから、平成7年2月、甲府クラブの会長だった男性の名義で出願しました(登録は平成9年10月)。
 また、エンブレムは、クラブが法人化された後のヴァンフォーレ山梨スポーツクラブがデザイナーに発注して作成しましたが(平成10年11月)、上記の「VENTFORET KOFU」のロゴの商標権がすでに男性の名義で登録されていたことから、呼称がヴァンフォーレと同じであるエンブレムの登録を法人の名義で行うことができず、男性の名義で登録せざるを得ませんでした。
 以上のことから、商標の登録の名義が男性であることは確かですが、上記の経緯から、名義が男性となったものです。
 そして、男性の名義で出願・登録されていた商標権につきましては、「契約書」の作成日より約1ヵ月後の平成9年3月3日、取締役会で、当社が設立された当時の財務状態では男性から商標権を譲り受けることはできなかったことから、商標について男性と「専用使用権」の契約を結ぶことを全会一致で承認しました。この取締役会には、男性も出席しています。使用料につきましては、男性が権利を保有する商標権を当社が使用するためには男性と専用使用の契約を結ぶ必要があったことから、法人化される前の男性らの貢献も考慮して、支払うこととしたものです。専用使用権については、特に期間を定めておらず、当社は、現在も商標の使用権の契約に基づいて使用料の支払いを続けています。
 使用料の金額は、男性らの金融機関からの借入金の利息相当額ということで決められたものです。
 以上のことから、男性または甲府クラブが当社に対し商標の使用の差し止めを求める権利はなく、当社が商標を使う意思がある限り、使用できるものと考えています。
 また男性または甲府クラブが、現在商標の使用をしているものでもなく、商標が男性の名義とされた経緯も踏まえれば、商標の使用の差し止めようとすることは、権利の濫用と言わざるを得ません。
 今後、訴訟につきましては、客観的事実に基づいて適切に主張していく所存です。また、男性が保有する商標権につきましては、クラブの健全な経営、今後のクラブの運営に与える影響、ファンの皆様のお考え等あらゆる事情を考慮し、取り得る全ての選択肢を検討し、クラブ及びサポーターの皆様にとって最善といえる解決を図っていく所存です。

2011年1月22日
(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ

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