ソマリア海賊:船員救出劇の陰に船長の機転と勇気(下)

海賊が理解できない韓国語で「夜中に監視が甘くなる」

 合同参謀本部の関係者は「ソク船長が機転を利かせていなければ、海賊の本拠地であるソマリア沿岸に船が移動し、作戦遂行が困難だったかもしれない」と語った。

 とりわけソク船長は、海軍清海部隊所属の駆逐艦「崔瑩(チェ・ヨン)」がサムホジュエリー号に接近した17日ごろから、操舵室内に設置された国際商船共用通信網を通じて「崔瑩」と随時交信し、海賊の人数や武装状態、動きなどを伝え、清海部隊が船内の状況を把握できるよう努めた。

 合同参謀本部の関係者は「ソク船長は操舵室に拘束された状態で、海賊の命令に従い英語で海運会社とやり取りしながらも、海賊が韓国語を聞き取れない点を利用し、合間に商船通信網で『崔瑩』と交信した」と説明した。

 また、「ソク船長は、船内での海賊の位置や武装状態、船の食糧事情のほか、数日にわたる駆逐艦の追跡を受けて海賊が疲弊し、夜中に監視がおろそかになる点などを伝えてくれた。わが軍が夜中に作戦を決行したのも、こうした情報があったため」と語った。

 ソク船長はまた、船が乗っ取られて以降、数日にわたり海賊を観察し「海賊は思ったほど体系的・組織的ではない」との判断を清海部隊に伝えてたという。

 「崔瑩」とリンクス・ヘリコプターが心理戦による威嚇射撃を加えるたびに、海賊があわてふためく様子を目にしたことから、こうした見方を伝えたというわけだ。清海部隊もこの日の作戦開始を前に、事前に商船通信網でソク船長に進入を伝えていたことが分かった。

 合同参謀本部の関係者は「ソク船長と『崔瑩』が海賊の目を避けて情報をやり取りできたのは、海賊が自分たちの拠点に船を速く移動させようと操舵を任せたソク船長が、通常の交信を装って状況を報告することができたため」と話した。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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