ソマリア海賊:運命懸けた李大統領の作戦承認(下)
李大統領は20日、救出作戦を命令した直後、側近に対し、「わたしだって不安でないはずはない。ここ数日、複雑な心境だった。しかし、実行することが正しいと信じる。国民も決定を支持してくれると信じる」と語ったとされる。また、「やるときはやらねばならず、行動を示さなければならない。そうすることで、(海賊は)再びこういうことを起こす考えを起こせなくなるはずだ」とも述べたという。
李大統領は同日、大統領府の状況室で随時報告を受け、結果を不安な気持ちで待っていたという。人質だけでなく、隊員も無事だという報告を受けた際、李大統領は「原発受注が決まったときよりも喜んでいた」(側近)という。李大統領はその上で、「作戦を命じた軍の統帥権者として、作戦完了を国民に報告するのが道理だ」として談話発表を指示し、「世界の人々もわれわれを見直す契機になるだろう。海賊の数も把握が難しい状況で、勇敢に(作戦に)臨んでくれた隊員がとても誇らしい」ということを繰り返したという。
李大統領は救出作戦に当たった駆逐艦「崔瑩(チェヨン)」のチョ・ヨンジュ艦長に電話をかけ、「すべての将兵にわたしの激励を伝えてもらいたい。とても誇らしくありがたい。健康に異常なく、全員が韓国に無事に戻ることができるようよろしく頼む」と述べた。
一方、李明博政権としては、哨戒間「天安」爆沈事件、延坪島砲撃に続き、今回も軟弱な姿を見せれば、「安保無能政権」という批判を受けかねないとの判断も働いた。複数の外交・安全保障当局者は「大統領府から、『国格』のためにも救出作戦で解決しなければならないというムードが相次いで伝えられた。犠牲者が出ても強行しなければならないというので、何か追い詰められているような印象も受けるほどだった」と振り返った。このため、大統領府や軍の周辺では「延坪島の代償をソマリアの海賊が払わされた」との感想も聞かれた。
一方、AP通信は同日、人質救出作戦の成功は、昨年11月の北朝鮮による延坪島砲撃当時、軍当局の対応が後手で不十分だったという批判を受けていた李明博政権にとって勝利だったと評した。ニューヨーク・タイムズも、多くの国が船員の安全を考慮し、救出作戦を避けているとして、今回の作戦をまれなケースだと報じた。
権大烈(クォン・デヨル)記者
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