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社会

“勤続60年”電気機関車が引退 神戸電鉄 

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「デキ」の愛称で親しまれ、60年にわたって活躍した電気機関車700形701号=神戸市北区鈴蘭台南町9、神戸電鉄鈴蘭台車庫(撮影・佐々木彰尚)

 神戸電鉄で約60年にわたって線路工事などに活躍した電気機関車「700形701号」が引退した。老朽化で車両の保守が難しくなったためで、近く廃車される。「運転するのが面白かった」「とにかく頑丈」。鉄道ファンだけでなく、運転や整備を担当した社員らも別れを惜しんでいる。

 701号は1949(昭和24)年4月、三菱重工で製造された。全長12・8メートル、重さ45トンのえび茶色。「電気機関車」を略した「デキ」の愛称で親しまれ、線路工事用の貨車や、砕石を線路にまく「ホッパー車」を引っ張った。新しい車両を車庫までけん引する役割も担った。

 全線69・6キロの8割以上が勾配という神鉄の線路。急勾配で車両が故障しても止まるよう、台車の下に「電磁吸着ブレーキ」を備えている。非常ブレーキをかけると電磁石がレールにへばりつく仕組みで、今では珍しいという。

 「扱いに慣れると思い通りに動く、面白い電車でした」と、元運転士で神鉄社員の尾崎守完(もりさだ)さん(56)。ブレーキと加減速ハンドルが通常と左右逆にあり、2種類のブレーキを駆使する必要があった。腕利きの運転士しか乗務できないため、運転が許されると「優越感があった」とほほ笑む。

 神鉄は29(昭和4)年につくられた電車を鈴蘭台車庫の構内作業車に転用するなど、多くの古い車両を長く使い続けている。しかし701号は部品1個の入手にも費用がかさみ、補修技術を引き継ぐのも難しくなった。

 昨年11月末に休車扱いとなり、実質的に引退。今年3月末には車両の籍もなくなり、解体される予定だ。電気系統の修理に携わった同社車両課長の伊藤嘉嗣さん(53)は「一つの時代が終わった感じ。愛着があるので寂しいですね」と話している。

(足立 聡)

(2011/01/19 15:27)


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