広島市が招致を検討している2020年夏季五輪は、秋葉忠利市長が4月退任を決めたことで混迷の度合いを深めている。19日、広島市を訪れた日本オリンピック委員会(JOC)の市原則之専務理事=東広島市出身=に現状の受け止めや今後について聞いた。
―「広島五輪」の今後の展開が不透明になっています。
将来の夢、地域の活力創出のためにも五輪開催は大きな意義がある。平和発信という理念についても世界は高く評価している。基本計画案も練り上げた。次の市長も強力なリーダーシップで取り組みを継続してほしい。
―招致検討を取りやめたら、各方面への影響はありますか。
手を挙げた価値を認識する必要がある。国際大会などで他国の人と話をしていて、広島の立候補を期待する声や平和五輪への賛意を聞く。やめるのは広島の信用に関わる。
―これまでの地元の議論をどう受け止めていますか。
市長をめぐる政局絡みの話になっている感があり残念だ。(17年)冬季アジア大会の開催地に札幌市が立候補した。市長と市議会はねじれているが、ア大会については同じベクトルで進む姿勢だ。広島も党派や政治的立場を超えて連携できるのでは。
―市民の賛同が広がっているとは言えません。
市は市民の理解を得るような広報、運動に努めてもらいたい。JOCも人材面で協力できる。基本計画案はよくできていると思う。金をかけない運営方法や大会後の維持管理に困らないような施設整備など、新しい五輪の在り方を示している。
―立候補の申請期限は9月1日です。
日程は厳しいが、立候補することになればしっかりとサポートしたい。(林仁志)
【写真説明】【運動部】「リーダーシップを発揮して、五輪招致に向けた取り組みを続けてほしい」と次の広島市長に期待する市原専務理事(撮影・奥村菜穂)
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