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きょうの社説 2011年1月22日
◎志賀原発2号機停止 不具合の多発が目に余る
トラブルで止まっていた1号機が昨年暮れ、ようやく動き出したと思ったら、今度は2
号機の停止である。重大事故ではないとしても志賀原発でなぜ「不具合」が多発するのか。安全を最優先するために、軽微であっても原子炉を止めているのだろうが、こうもトラブルが続くと不安になる。不具合を未然に防ぐ環境整備や状況づくりができているのか。作業ミスはなかったのか。原因をしっかりと調査し、安全性の向上に努めてほしい。北陸電力によると、2号機を停止する理由は、原子炉格納容器の冷却器から出る凝縮水 の流量が低下したためという。凝縮水は原子炉格納容器の温度を下げる際に排出される水で、冷却器自体に異常はなく、水を流す配管が詰まったとみられる。 2号機では今月7日、タービンに蒸気を送る配管の弁の検出器に故障が見つかったばか りである。3個設置された検出器のうち1個は、昨年6月に同じ故障が発生しており、2個目も壊れた。北電はこのとき原子炉の運転継続に問題はないとしてきたが、今回は手動停止を決断した。 2号機の停止は定期検査が終了した2010年2月以来だが、隣接する1号機は昨年1 2月2日、原子炉冷却材再循環ポンプで部品の水圧が上昇し、部品交換のため原子炉を停止している。部品交換後の同月12日に再起動したが、制御棒が想定以上に引き抜けるトラブルが起きたため、再び原子炉を停止した。停止中には、配管洗浄中に誤って作業員に水がかかるミスもあった。 制御棒の不具合は、制御装置の弁に異物が混入したのが原因で、北電は弁を新品に交換 して点検を完了し、12月23日に再起動した。それから1カ月もしないうちに今度は2号機のトラブルが起きたのである。地元住民から憤りの声が上がるのも無理はない。北電はまなじりを決して、不具合の解明に取り組んでほしい。 小さなトラブルでも情報はすべて開示する姿勢は重要だ。事態を楽観視せずに石橋をた たく慎重さも求められる。事故につながる恐れがわずかでもあれば、手動停止をためらってはならない。
◎外国人の土地取得 規制へ実態調査を早急に
民主党が、外国人や外国資本による国内の土地取得の規制について、プロジェクトチー
ムを設け、具体的な検討に着手した。外国資本による土地や森林の買収では近年、長崎県・対馬で韓国資本が土地買収を進めていることや、北海道で中国資本による森林買い占めが目立つことが問題視されているが、外国人らの不動産取得の実情は正確に把握されておらず、大畠章宏国土交通相が早急に実態調査を進める考えを示したのは当然である。外国人の土地取引に関しては、1925(大正14)年に制定された「外国人土地法」 という古い法律がある。同法は、国防上必要な地区において外国人や外国法人による土地取得を政令で制限できると定めている。さらに、相手国が日本人の土地所有を制限している場合、相手国の国民や法人に対して同様の制限が可能なことも明記しているが、こうした規制を実際に行う政令は存在せず、同法はまさに有名無実化している。 外国人らの不動産取引は自由な経済活動として認められるべきであるが、現在の状況は 安全保障の観点からもあまりに無防備で無神経といわざるを得ない。防衛施設周辺などにおける土地取得の制限について、法務省なども検討を急ぐ必要がある。 林野庁の昨年11月時点の調査では、外国資本による森林買収は北海道で29件、神戸 市で1件が確認されたという。資産保有や転売が主目的とされるが、水源林も含まれているため、政府以上に自治体が警戒心を強めている。 外資が日本の森林を狙うのは、売買の規制が緩く、事後の届け出で済むことが一因とさ れる。このため、北海道は森林や沼地の土地取引で事前の届け出を求める条例の制定をめざしている。 ただ、取得規制が過ぎると、地域経済にマイナスになる恐れがある。外資による活発な 買収の背景には、森林の管理ができず、売却を望む所有者が少なくないこともある。規制の検討に合わせて、森林の荒廃を防ぐ対策や、遅れている林地の地籍調査のてこ入れを図ることも重要である。
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