ここらで僕が16歳の時に書いた小説の抜粋を披露してもいいだろう。
新ジャンル「モノマネOL小説 恭子」
~(前略)~
と言うのも、彼女は一度桃井かおりのモノマネで痛い目を見ているのだ。簡単そうに見えて意外と奥が深い。それ以来彼女は清水ミチコがテレビに出ている時は意識的に目が行くようになった。
「絶対やめた方がいいよ。あなた、せっかくローリー寺西に似てるんだから、顔マネでいいじゃない」
そんな恭子の説得にも西村は耳を貸さなかった。
「先輩は臆病すぎなんです。それに、顔マネじゃ笑いが一つ起きて終わり。声マネならセリフを足せばそれなりに自由がきくでしょう?」
そんなことは分かっている。問題は西村にどれほどの力量があるかということだ。しかし、西村が基本すらできていなことはとっくに知っている。ましてや素人殺しの桃井など。
「分かった。あなたがそこまで言うのならやればいいわ。ただし、私は一切手助けをしないわよ」
「オッケーオッケー。分かったから先輩は黙って見ててくださいよ」
西村は恭子の手を払いのけて前に出てこう言った。
「えっと、あの、今から桃井かおりのモノマネをしまーす」
沸く観客。
「似てるんだろうなー!」
「半端なもん見せたらどうなるか分かってんのかー?」
この娘は分かっていない。でも、そう、自業自得だわ。わたしは止めた。わたしは悪くない。わたしは悪くない。
恭子が心の中でそう繰り返しているうちに会場は静まり返っていった。
そして西村の、桃井かおりの声が聞こえてきた。
「20代はいいのよ」
NGワードだ。
恭子はこれから起こり得るべき出来事を想像して気が遠くなった。
~(後略)~
自費出版で発行したいと思っております。