金太郎の話の起伏のなさはすごい。
まさかり担いだ金太郎が熊にまたがりお馬の稽古をするらしい。
熊と戦える強さがあったらお馬に乗る稽古なぞせんでもよろしい!
馬なんて上流階級が乗る乗り物だ。
ということで新訳『金太郎』を考えました。見てやってください。
『金太郎』
金太郎(以下金)「とうとうこの山の頂点まで上り詰めたか…。しかし、何だこの空虚感。張りがない」
熊「それは金太郎さんが強くなりすぎたからじゃないですか?」
金「はっ、何だ。熊か。いたのか」
熊「ええ。あなたに負けてからというものスピードを増す努力は怠りませんでしたからね」
金「ふん。お前が負けた敗因は速さだけじゃないぜ」
熊「ふっふっふ。分かっていますよ。そんなことは」
金「それより何のようだ。お前が俺に会いにくるとは珍しい」
熊「ええ。今日はあなたにこれを見せようと思いまして(チラシを見せる)」
金「何!?足柄山最強トーナメントだと!?」
熊「改めて最強を決めようというわけです。あなたは事実上この山のトップだと言われているが、公式に認められたわけじゃない。しかもこの大会、足柄山だけじゃない、近隣の村にも相当配られているようです。あなたも足元をすくわれなければいいんですがね」
金「そうか」
熊「なぜ震えているのですか?まさか負けを恐れているのでは?」
金「そうじゃねえ。嬉しいんだよ。俺が求めていたのはこれだ。これだったんだ。また、戦える…」
熊「ふふ、やはりあなたは私が見込んだ通り、根っからの戦闘民族だ。では、私はこれで。決勝で会いましょう」
金「ちょっと待て」
熊「何か?ぐふっ!」
金太郎は振り返りかけた熊にまさかりの一撃を加えた。油断していた熊に鮮血がほとばしる。
金「はっはっは!お前は弱い。弱いよ。熊。だが、俺が優勝できなくなる可能性の1%でも先に消しておかなければな!はははは!」
そう言いながら何度もまさかりを振り下ろす金太郎の目はもはやこの世を見ていなかった。
退屈な現実をもてあました金太郎の体は薬物に蝕まれていたのだ。
金「はははははは!死ね!死ね!死ね!きゃははははは!」
その三日後トーナメントには金太郎の欠場が知らせられた。一回戦の金太郎の相手、兎はほっと胸をなでおろす。
兎「しかし、このトーナメントに出ないなんて、金太郎さんに何かあったのでは?」
そのさらに16日後、足柄山のふもとの山小屋で倒れている金太郎の死体が発見された。
金太郎の体は薬物により痩せ細り、体中に発疹ができていた。
警察はこの事実を公表するとともに、足柄山付近に出没した謎の麻薬密売人を追跡するが、それはまた別のお話。
とにかく、クスリは、ダメ!絶対!
終
ダメなのは僕の方かもしれない。