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2007年5月、サンフランシスコで開かれた世界臓器移植大会で、法輪功愛好者を被害者とする「臓器狩り」について訴える人々(明慧ネット)

中国臓器移植の闇 「法輪功の人がターゲット」 日本人ブローカーの証言

 【大紀元日本1月21日】中国での臓器移植を巡り、臓器移植支援をうたう民間団体を運営していた元幹部2人が、詐欺容疑で告訴された事件で、中国での闇の臓器移植の実態が再び日本で注目を集めている。中国や東アジアで移植手術を斡旋する日本人ブローカーは昨年、移植ドナーの中の法輪功愛好者の存在について匿名で大紀元に証言した。

 アメリカ、カナダ、日本などでは臓器移植までの待機期間が2〜4年であるのに対し、2001年から臓器移植件数が年間1万件を超え、近年臓器移植数が世界第2位となった中国では1週間〜1カ月という異常な短期間で手術が行われている。そのため、近年海外から中国へ渡航して臓器移植を行うケースが急激に増えている。一方、ドナーの出所は不明であるため、国際的に人道的・医療倫理の面で批判が強い。

 2009年の中国衛生部の報告によると、2003年からの6年間で、一般市民からの臓器提供はわずか130例。移植数とドナー数との差について、中国衛生部当局は65%が「死刑囚である」としているが、中国当局の公表によれば、2000年から2005年までに処刑された死刑囚の数は9696人である。これらの囚人の臓器が全部移植用に提供されたとしても、実際に患者に適合し移植できるのは200から1000例しかないはずだと言われている。国際人権組織は、2001年から2005年までの5万件以上の臓器移植件数のうち、4万件以上の臓器の出所は不明であるとしている。

 監禁された法輪功学習者が膨大な数の臓器の出所であるということも可能性の一つとして指摘されている。中国から海外に逃亡した医療関係者の証言や、カナダの国際人権弁護士デービッド・マタス氏とカナダ外務省前アジア太平洋州局長デービッド・キルガー氏が行なった独立調査により、中国では法輪功学習者に対する「臓器狩り」が行われていると指摘されている。

 中国や東アジアで移植手術を斡旋する日本人ブローカーが昨年、移植ドナーの中の法輪功愛好者の存在について匿名で大紀元に明かした。同ブローカーは中国の広州に行った際、日本語が堪能な中国人医師から、「法輪功の人が(臓器摘出の)ターゲットになっていた。『国家反逆罪』などの重い罪を彼らに負わせ、彼らを死刑囚にさせていた」と会話したという。このブローカーによると、5年前には相当な数の法輪功愛好者が不当に逮捕され、軍や政府が管理する「医療刑務所」に収容されていた。最近の事情については、「法の整備が進んだため、(死刑を科すことは)この1〜2年は少なくなっているようだ」と加えた。

 中国では、2007年から外国人への移植手術を法律で禁止している。しかし、「国際社会の非難が高まれば、このビジネスは裏の裏で行われるようになる。国が公認しなくなったとしても、移植ビジネスは闇の取引になるだけで、事態がなくなることはないだろう」と同ブローカーは語った。

 国連はこれまでに中国で行われている法輪功愛好者の臓器狩り事件について、中国当局を厳しく非難してきた。2010年5月、国連の拷問特別調査は同事件に関する新たなレポートの中で、公的な死刑執行と合法的な臓器提供源の数と、実際の移植手術の回数が合っておらず、その差は強制労働所に収容されている法輪功愛好者の生体臓器狩り事件と関連している可能性があると指摘した。

 レポートによると、中国医療器官移植協会のデータでは毎年約1万件の移植手術が行われており、2005年には僅か500件の臓器移植が親族によるもので、2005年の死刑執行数(中国政府は非公開)は推計で1770人。死刑宣告を受けた者の数は3900人。「合法的な臓器提供源の数と、実際の移植手術の数が一致していない」とレポートは指摘している。

(佐渡道世)


 (11/01/21 08:09)  





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臓器狩り  臓器移植  生体実験  闇のビジネス  


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