「人権」中国には聞こえず 米中首脳会談で凍り付く中国記者団
2011.1.21 08:56
19日、ホワイトハウスで行われたバラク・オバマ米大統領(49)と中国の胡錦濤国家主席(68)の会談。その後に行われた共同記者会見で両首脳は、中国の人権問題をめぐり率直に意見交換したことを強調したが、胡主席は「米国と(人権問題について)対話を行いたい」と従来の見解を主張するににとどまり、溝は埋まらなかった。
両首脳が熱く火花を散らしたのは人権問題。昨年11月の中間選挙で大敗したオバマ政権が、野党・共和党からの「対中弱腰」批判をかわすためにも、人権問題で強硬姿勢を示すことは不可避だったためだ。米政府当局者によると、会談ではオバマ大統領が胡主席に中国の民主活動家、劉暁波氏(55)の釈放やチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(75)との対話を要請した。
共同会見の場も、人権では熱気を帯びた。「大統領!国民を冷遇していることで知られる国とどうしたら協力していけるのか米国民に説明してほしい」。AP通信記者はオバマ大統領にそうただした上で胡主席に向き直り、「反論の機会を与えたい。中国の人権状況をどう正当化するのか」と厳しい口調で迫った。この時、会場の一部に陣取った中国人記者団が凍り付き、胡氏の顔も引きつった。
オバマ大統領は「米国はすべての人々にとって人権が普遍的な権利であることを再確認した」と、胡主席を横目に見ながら強調。胡主席は沈黙したままだった。次に指名されたブルームバーグ通信記者が胡主席に回答を求めると、胡主席は「通訳の技術的な問題で質問が聞こえなかった」と釈明。「人権問題では依然として多くの課題があるが、中国は常に人権擁護に努めてきた。大きな進歩があったと世界からも認められている。中米間では意見が一致しないが、内政不干渉を原則として話し合う用意がある」と大方の予想以上に率直な回答で切り返し、記者団を驚かせた。
ワシントン・ポスト紙は、実際には質問は聞こえており、胡主席は故意に無視したが、再質問で逃げ切れなくなったと指摘。報道の自由を掲げる民主国家の洗礼を受けた形だった。
オバマ大統領は会見で「率直な意見交換」の重要性を繰り返した。米中は人権など埋めがたい相違点を抱えながらも、首脳間の信頼関係を築き、協力分野を拡大する方向へ進まざるを得ないのも確かである。(SANKEI EXPRESS)
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中国、米中会見の内容報道せず 海外放送も遮断
東京新聞2011年1月21日 朝刊
【北京=安藤淳】中国の国営新華社通信は二十日、米中首脳会談後の共同記者会見について「両国元首が記者会見し、記者の質問に答えた」とだけ伝え、記者との質疑応答の内容などは一切伝えなかった。また、胡錦濤国家主席が人権問題について答える様子を映した二十日夜のNHKの海外放送は十数秒間、遮断された。
中国政府は、人権問題に関心が集中した会見内容を国民に知らせないため、報道規制を敷いたとみられる。中国内では、歓迎式典や晩さん会など胡主席が歓待されるシーンは詳報された。新華社は首脳会談について「全世界の注目を集めた」とした上で、「胡錦濤国家主席の訪米は戦略的互恵協力をさらに進めた」と持ち上げた。
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中国主席に「人権」対応促す=改善要求リストも−米議会指導部
【ワシントン時事】中国の胡錦濤国家主席は公式訪米3日目の20日、連邦議会の上下両院でそれぞれ、超党派の幹部と会談した。共和党のベイナー下院議長らは、中国の人権状況に対する強い懸念を伝達、改善に向け責任を果たすよう求めた。
米議会では最近、中国政府の為替操作に対する制裁法案提出の動きが出たり、胡主席訪米を歓迎する夕食会に同議長が欠席したりと対中強硬姿勢が目立つ。胡主席は今回、「相互理解が重要だ」(訪米同行筋)と大物議員との交流を重視、あえて「敵陣」に乗り込んだ。
下院指導部との会談には民主党のペロシ院内総務(前議長)らも出席した。AFP通信によると、ペロシ氏はノーベル平和賞を受賞した民主活動家、劉暁波氏の釈放問題を提起。共和党の対中強硬派、ロスレーティネン外交委員長は人権問題の改善要求リストを手渡した。
これに対し、胡主席は「人権問題はわれわれのペースで進めていく」と一蹴。会談後、参加者からは胡主席の答えは満足のいく内容ではなかったなどの不満が漏れた。(時事通信2011/01/21-10:09)
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<胡主席訪米>仏メディアが胡主席の訪米に注目
2011-01-20 20:31:21[A A A]
フランスの新聞「フィガロ」の報道によりますと、アメリカのオバマ大統領は19日、ホワイトハウスで、中国の胡錦涛国家主席を歓迎するセレモニーを行いました。両国の指導者はセレモニーで今後30年の両国関係を新しく定義しました。
この報道によりますと、両国首脳の会談後、中国訪問団の代表とアメリカ側の関係者はそれぞれ会談を行いました。会談には朝鮮と韓国問題、中米両国の経済貿易問題などが含まれました。オバマ大統領は、会談の中で「中国の発展はアメリカに利益をもたらしている。このような成長が世界の平和や国際原則の尊重に役立つものであることを明確にしたい」と述べました。
人権問題について、胡錦涛国家主席は「中国は人権問題で大きな進歩を遂げたが、まだ様々な事柄を推進しなければならない」と語りました。(翻訳:任春生 チェッカー:小野)
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◆米国務長官「人権問題のために米中間の協力関係を損なうわけにはいきません」2009-03-17 | 国際
「中国の人権」無視した米国務長官
2009/3/17 Bloomberg
最近、クリントン米国務長官が北京を訪れて、中国政府に経済危機を乗り切るためにアメリカ国債を買い続けるよう頼んだが、実は北京に向かう道中、クリントン長官は「世界経済危機、環境危機、安全保障上の危機があまりに深刻である以上、もはや人権問題のために米中間の協力関係を損なうわけにはいきません」と、とんでもない発言をしていた。
アメリカが従来、中国の人権問題に関してとっていた態度を思うと、原理原則を売り飛ばしたと批判されてもしようがない動きである。
1976年に毛沢東が没して以来、西側諸国は中国政府に、中国人民の基本的人権を認めるよう、さまざまな圧力をかけてきた。特にアメリカには、ジャクソン=ヴァニク法という強力な武器があった。75年に定められたこの法律は、自国民が海外へ移民する権利を制限する国に対して貿易の最恵国待遇を認めない、というものである。
当時のソ連を念頭に置いて制定されたせいもあって、同法の中国に対する適用は、常に見送られてきた。だが、ジャクソン=ヴァニク法のおかげで、議会は毎年ロシアと中国に対して人権状況の審査を行い続けることとなった。毛沢東の後継者たちも、アメリカが監視していることを気にしないわけにいかなかったのだ。
賭けに負けた西側
その成果は、いかばかりのものであっただろうか?
「天安門事件を例外とすれば、中国の人権状況は文化大革命の終了した76年から、着実に改善されていました」
そう言うのは、NPOヒューマンライツ・ウオッチの広報部長、ミンキー・ウォーデン氏である。北京オリンピックの政治学とでも言うべき内容の『China’s Great Leap』という編著書もあるウォーデン氏は、さらにこうも述べた。
「経済改革とともに、中国政府が人権を重視する方向に改革を行って、法治主義を確立するだろうと、チャイナ・ウォッチャーは期待するようになりました」
つまり西側諸国は、中国の近代化が中国の民主化をもたらすという可能性に賭けたのだ。だが、北京オリンピックの開催された2008年に、西側諸国はその賭けに負けたことを、思い知らされることとなった。
まずオリンピックに合わせるようにして、チベットでも新疆ウイグル自治区でも、大弾圧が行われ、私服警官が取材に訪れた記者に暴行を働いた。国民の健康、生命に重大な影響をもたらしかねなかった「毒入り」ミルク事件の報道が、検閲の対象となった。
さらに、主だった人権活動家は投獄された。AIDSを患う中国人の権利擁護を呼びかける運動家の胡佳氏は、共産党政権を転覆しようとしたという罪状で、懲役3年半の刑に処せられ、現在服役中である。北京オリンピックがいよいよ開催間近となったころに、胡佳氏は何十人という活動家たちとともに、人権状況の改善を中国政府に訴える公開書簡を発表した。
中国政府が、もう一人、標的に選んだのが、中国における改革派文人の集まりであるPENの前会長でもある、文芸評論家の劉暁波氏だった。08年12月に逮捕された劉氏はいまだに拘留中だが、彼がどのような罪状で逮捕されたのかも、どこに収容されているのかも、不明のままである。
金融機関が人質
中国が西側諸国の重大な関心事項である人権問題を、平気で踏みにじっているのには、理由がある。現在の米中関係は1970〜80年代の逆となっているのだ。70、80年代にはアメリカが経済的な優位に立って、中国から譲歩を引き出していた。
だが、資金面で優越的な立場にあるのは、今や中国であり、アメリカは次々と、ぶざまに譲歩せざるを得なくなっている。特に現在の経済危機のせいで、アメリカは中国に頭が上がらなくなってしまった。中国に国債を買い続けてもらわないと、さらなる危機に突入してしまうのである。
これもすべて、アメリカの大手金融機関が、とんでもなくでたらめな行動をとっていたためだと考えると、悲しくなってしまう。人権という普遍的な問題で中国政府を批判しようにも、アメリカ政府は金融機関を人質にとられているのだ。旧ソ連時代に東ヨーロッパ解放の反体制運動が命脈を保つことができたのは、自信にあふれ、豊かでもあった西側諸国が共産主義反対を徹底して表明していたおかげだった。
中国の人権活動家たちは、西側経済の弱体ぶりのおかげで、以前に比べてはるかに厳しい運命に直面せざるを得ないだろう。
クリントン発言に何かしら良いところがあったとすれば、北京で人権活動家が獄舎に入れられっぱなしだという事実と、クレジットカードの利率の間に、密接な関係があるのだと学ぶ機会を、平均的なアメリカ人に与えたことくらいだろうか。(コラムニスト Amity Shlaes)
◇
Amity Shlaesはブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です。
◆自国人が中国で死刑に・・・強く出ない日本と強く出た英国2010-04-07 | 死刑〈国際〉
◆中国、邦人に死刑執行(通告). 日本も中国人《陳徳通死刑囚》に2009/07/28死刑執行している
◆中国の邦人死刑執行通告〜「日本はどんなことでも中国の言うことを聞く」
◆EU・人権団体も非難 英国人への死刑執行、異例の早さ 中国の人権問題を批判し続ける欧米への反発
◆中国、麻薬密輸罪英国人の死刑執行 英首相、最大限の強い言葉で執行を非難
2011.1.21 08:56
19日、ホワイトハウスで行われたバラク・オバマ米大統領(49)と中国の胡錦濤国家主席(68)の会談。その後に行われた共同記者会見で両首脳は、中国の人権問題をめぐり率直に意見交換したことを強調したが、胡主席は「米国と(人権問題について)対話を行いたい」と従来の見解を主張するににとどまり、溝は埋まらなかった。
両首脳が熱く火花を散らしたのは人権問題。昨年11月の中間選挙で大敗したオバマ政権が、野党・共和党からの「対中弱腰」批判をかわすためにも、人権問題で強硬姿勢を示すことは不可避だったためだ。米政府当局者によると、会談ではオバマ大統領が胡主席に中国の民主活動家、劉暁波氏(55)の釈放やチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(75)との対話を要請した。
共同会見の場も、人権では熱気を帯びた。「大統領!国民を冷遇していることで知られる国とどうしたら協力していけるのか米国民に説明してほしい」。AP通信記者はオバマ大統領にそうただした上で胡主席に向き直り、「反論の機会を与えたい。中国の人権状況をどう正当化するのか」と厳しい口調で迫った。この時、会場の一部に陣取った中国人記者団が凍り付き、胡氏の顔も引きつった。
オバマ大統領は「米国はすべての人々にとって人権が普遍的な権利であることを再確認した」と、胡主席を横目に見ながら強調。胡主席は沈黙したままだった。次に指名されたブルームバーグ通信記者が胡主席に回答を求めると、胡主席は「通訳の技術的な問題で質問が聞こえなかった」と釈明。「人権問題では依然として多くの課題があるが、中国は常に人権擁護に努めてきた。大きな進歩があったと世界からも認められている。中米間では意見が一致しないが、内政不干渉を原則として話し合う用意がある」と大方の予想以上に率直な回答で切り返し、記者団を驚かせた。
ワシントン・ポスト紙は、実際には質問は聞こえており、胡主席は故意に無視したが、再質問で逃げ切れなくなったと指摘。報道の自由を掲げる民主国家の洗礼を受けた形だった。
オバマ大統領は会見で「率直な意見交換」の重要性を繰り返した。米中は人権など埋めがたい相違点を抱えながらも、首脳間の信頼関係を築き、協力分野を拡大する方向へ進まざるを得ないのも確かである。(SANKEI EXPRESS)
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中国、米中会見の内容報道せず 海外放送も遮断
東京新聞2011年1月21日 朝刊
【北京=安藤淳】中国の国営新華社通信は二十日、米中首脳会談後の共同記者会見について「両国元首が記者会見し、記者の質問に答えた」とだけ伝え、記者との質疑応答の内容などは一切伝えなかった。また、胡錦濤国家主席が人権問題について答える様子を映した二十日夜のNHKの海外放送は十数秒間、遮断された。
中国政府は、人権問題に関心が集中した会見内容を国民に知らせないため、報道規制を敷いたとみられる。中国内では、歓迎式典や晩さん会など胡主席が歓待されるシーンは詳報された。新華社は首脳会談について「全世界の注目を集めた」とした上で、「胡錦濤国家主席の訪米は戦略的互恵協力をさらに進めた」と持ち上げた。
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中国主席に「人権」対応促す=改善要求リストも−米議会指導部
【ワシントン時事】中国の胡錦濤国家主席は公式訪米3日目の20日、連邦議会の上下両院でそれぞれ、超党派の幹部と会談した。共和党のベイナー下院議長らは、中国の人権状況に対する強い懸念を伝達、改善に向け責任を果たすよう求めた。
米議会では最近、中国政府の為替操作に対する制裁法案提出の動きが出たり、胡主席訪米を歓迎する夕食会に同議長が欠席したりと対中強硬姿勢が目立つ。胡主席は今回、「相互理解が重要だ」(訪米同行筋)と大物議員との交流を重視、あえて「敵陣」に乗り込んだ。
下院指導部との会談には民主党のペロシ院内総務(前議長)らも出席した。AFP通信によると、ペロシ氏はノーベル平和賞を受賞した民主活動家、劉暁波氏の釈放問題を提起。共和党の対中強硬派、ロスレーティネン外交委員長は人権問題の改善要求リストを手渡した。
これに対し、胡主席は「人権問題はわれわれのペースで進めていく」と一蹴。会談後、参加者からは胡主席の答えは満足のいく内容ではなかったなどの不満が漏れた。(時事通信2011/01/21-10:09)
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<胡主席訪米>仏メディアが胡主席の訪米に注目
2011-01-20 20:31:21[A A A]
フランスの新聞「フィガロ」の報道によりますと、アメリカのオバマ大統領は19日、ホワイトハウスで、中国の胡錦涛国家主席を歓迎するセレモニーを行いました。両国の指導者はセレモニーで今後30年の両国関係を新しく定義しました。
この報道によりますと、両国首脳の会談後、中国訪問団の代表とアメリカ側の関係者はそれぞれ会談を行いました。会談には朝鮮と韓国問題、中米両国の経済貿易問題などが含まれました。オバマ大統領は、会談の中で「中国の発展はアメリカに利益をもたらしている。このような成長が世界の平和や国際原則の尊重に役立つものであることを明確にしたい」と述べました。
人権問題について、胡錦涛国家主席は「中国は人権問題で大きな進歩を遂げたが、まだ様々な事柄を推進しなければならない」と語りました。(翻訳:任春生 チェッカー:小野)
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◆米国務長官「人権問題のために米中間の協力関係を損なうわけにはいきません」2009-03-17 | 国際
「中国の人権」無視した米国務長官
2009/3/17 Bloomberg
最近、クリントン米国務長官が北京を訪れて、中国政府に経済危機を乗り切るためにアメリカ国債を買い続けるよう頼んだが、実は北京に向かう道中、クリントン長官は「世界経済危機、環境危機、安全保障上の危機があまりに深刻である以上、もはや人権問題のために米中間の協力関係を損なうわけにはいきません」と、とんでもない発言をしていた。
アメリカが従来、中国の人権問題に関してとっていた態度を思うと、原理原則を売り飛ばしたと批判されてもしようがない動きである。
1976年に毛沢東が没して以来、西側諸国は中国政府に、中国人民の基本的人権を認めるよう、さまざまな圧力をかけてきた。特にアメリカには、ジャクソン=ヴァニク法という強力な武器があった。75年に定められたこの法律は、自国民が海外へ移民する権利を制限する国に対して貿易の最恵国待遇を認めない、というものである。
当時のソ連を念頭に置いて制定されたせいもあって、同法の中国に対する適用は、常に見送られてきた。だが、ジャクソン=ヴァニク法のおかげで、議会は毎年ロシアと中国に対して人権状況の審査を行い続けることとなった。毛沢東の後継者たちも、アメリカが監視していることを気にしないわけにいかなかったのだ。
賭けに負けた西側
その成果は、いかばかりのものであっただろうか?
「天安門事件を例外とすれば、中国の人権状況は文化大革命の終了した76年から、着実に改善されていました」
そう言うのは、NPOヒューマンライツ・ウオッチの広報部長、ミンキー・ウォーデン氏である。北京オリンピックの政治学とでも言うべき内容の『China’s Great Leap』という編著書もあるウォーデン氏は、さらにこうも述べた。
「経済改革とともに、中国政府が人権を重視する方向に改革を行って、法治主義を確立するだろうと、チャイナ・ウォッチャーは期待するようになりました」
つまり西側諸国は、中国の近代化が中国の民主化をもたらすという可能性に賭けたのだ。だが、北京オリンピックの開催された2008年に、西側諸国はその賭けに負けたことを、思い知らされることとなった。
まずオリンピックに合わせるようにして、チベットでも新疆ウイグル自治区でも、大弾圧が行われ、私服警官が取材に訪れた記者に暴行を働いた。国民の健康、生命に重大な影響をもたらしかねなかった「毒入り」ミルク事件の報道が、検閲の対象となった。
さらに、主だった人権活動家は投獄された。AIDSを患う中国人の権利擁護を呼びかける運動家の胡佳氏は、共産党政権を転覆しようとしたという罪状で、懲役3年半の刑に処せられ、現在服役中である。北京オリンピックがいよいよ開催間近となったころに、胡佳氏は何十人という活動家たちとともに、人権状況の改善を中国政府に訴える公開書簡を発表した。
中国政府が、もう一人、標的に選んだのが、中国における改革派文人の集まりであるPENの前会長でもある、文芸評論家の劉暁波氏だった。08年12月に逮捕された劉氏はいまだに拘留中だが、彼がどのような罪状で逮捕されたのかも、どこに収容されているのかも、不明のままである。
金融機関が人質
中国が西側諸国の重大な関心事項である人権問題を、平気で踏みにじっているのには、理由がある。現在の米中関係は1970〜80年代の逆となっているのだ。70、80年代にはアメリカが経済的な優位に立って、中国から譲歩を引き出していた。
だが、資金面で優越的な立場にあるのは、今や中国であり、アメリカは次々と、ぶざまに譲歩せざるを得なくなっている。特に現在の経済危機のせいで、アメリカは中国に頭が上がらなくなってしまった。中国に国債を買い続けてもらわないと、さらなる危機に突入してしまうのである。
これもすべて、アメリカの大手金融機関が、とんでもなくでたらめな行動をとっていたためだと考えると、悲しくなってしまう。人権という普遍的な問題で中国政府を批判しようにも、アメリカ政府は金融機関を人質にとられているのだ。旧ソ連時代に東ヨーロッパ解放の反体制運動が命脈を保つことができたのは、自信にあふれ、豊かでもあった西側諸国が共産主義反対を徹底して表明していたおかげだった。
中国の人権活動家たちは、西側経済の弱体ぶりのおかげで、以前に比べてはるかに厳しい運命に直面せざるを得ないだろう。
クリントン発言に何かしら良いところがあったとすれば、北京で人権活動家が獄舎に入れられっぱなしだという事実と、クレジットカードの利率の間に、密接な関係があるのだと学ぶ機会を、平均的なアメリカ人に与えたことくらいだろうか。(コラムニスト Amity Shlaes)
◇
Amity Shlaesはブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です。
◆自国人が中国で死刑に・・・強く出ない日本と強く出た英国2010-04-07 | 死刑〈国際〉
◆中国、邦人に死刑執行(通告). 日本も中国人《陳徳通死刑囚》に2009/07/28死刑執行している
◆中国の邦人死刑執行通告〜「日本はどんなことでも中国の言うことを聞く」
◆EU・人権団体も非難 英国人への死刑執行、異例の早さ 中国の人権問題を批判し続ける欧米への反発
◆中国、麻薬密輸罪英国人の死刑執行 英首相、最大限の強い言葉で執行を非難