【萬物相】ガールズグループ

 昨年、あるテレビ局のトーク番組に、かつて4人組女性グループとして活動していた芸能人が出演し、グループにいたころの苦労話を打ち明けた。「所属事務所が過酷なダイエットをさせるため、空が黄色く見えた。食事は、仕切りのついたプレートに決められた量だけ配られた。ご飯にこっそりコチュジャン(唐辛子みそ)を混ぜて食べていたら、音でばれて外に放り出されたこともある。あまりにおなかがすいて、落ちている銀杏を拾って食べたこともあった」。その芸能人は「合宿所と練習室以外には外に出られず、友達に連絡を取ることもできなかった」と話した。

 若いどころか「幼い」ガールズグループが歌番組の画面を占領するようになって久しい。10代だけでなく大人の男性からも人気を集め、「おじさんファン」といった新語まで生まれた。人気ガールズグループのメンバーは、殺人的なスケジュールをこなす。T-ara(ティアラ)のあるメンバーは、テレビ番組で「朝6時半から翌日午前3時まで仕事をしている。朝食は抜きで、昼ご飯は遅い時間に、しかもキムパプ(韓国式のり巻き)1本だけ食べる」と語った。アフタースクールのメンバーは昨年、バラエティー番組への出演中に居眠りをする姿がカメラに捉えられ、「熟眠(熟睡)」というニックネームまで付けられた。

 昨年9月、日本のNHKは9時のニュースのトップで、韓国のガールズグループ旋風を報じた。イケメンの男性俳優が主体だった韓流を、今やガールズグループが引っ張っているというニュースだった。少女時代のライブを見たファンたちが「涙が出そう」と話す映像も流れた。東京のCDショップに、韓国歌謡だけを集めたK-POPコーナーがあることも紹介された。また、韓国ガールズグループの歌やダンスが完璧なのは、デビュー前に過酷なレッスンを受けるためと説明した。

 少女時代と共に「新・韓流」ブームを巻き起こしている5人組ガールズグループ、KARAのメンバーのうち3人が一昨日、所属事務所に専属契約の解除を申し出た。3人は弁護人を通じ「(所属事務所が)私たちを金もうけの手段としてのみ利用している。(事務所との)信頼関係が、回復できないほど破たんした」と発表した。これに対し、所属事務所は「根拠のない主張」として、ライバル社など「黒幕」の存在を疑っている。

 このニュースが報じられるや、日本のメディアも騒然となったという。日本で人気を集めたアイドルグループ「東方神起」が分裂したように、「KARAも空中分解するのではないか」との否定的な報道が相次いでいる。問題が起きるたびに、韓国の芸能事務所は「育ててもらった恩を知らない」と主張し、芸能人は「利用されただけ」と反発するという見苦しい対立が繰り返されている。判で押したような似たり寄ったりのグループを送り出す韓国芸能界の構造が、このままで大丈夫なのか、これを機に考えるべきだ。

趙正薫(チョ・ジョンフン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る