【コラム】日本の民主党、言うはやすいが…
実際、民主党は政権を握ると同時に、税金の無駄遣いとして八ッ場ダムの建設を中断させた。土木事業を通じ、建設業界と官僚、政治家らが共生関係を維持してきた「土建族体制」との断絶を宣言したかのようだった。政権の支持率は70%台まで急騰した。
ところが、公約を実践するのは口で言うほど容易ではなかった。建設中のダムを途中で放り出すのは現実的ではなかったわけだ。まず地方自治団体が反発した。そして結局、最近になって建設中止方針が撤回された。また、国会議員の定数削減、公務員の人件費2割削減などのリストラを公約に掲げたものの、時とともにうやむやになっている。当初、月2万6000円を支給するとしていた子ども手当は、1万3000円に減額されたが、それでも財政負担は急激に拡大している。日本の来年度(2011年度)の税収(見通し)は40兆円だが、国家予算は92兆円を超える。結局、税収額をはるかに上回る国債を発行し、不足分に充当せざるを得ないわけだ。
このため、国の借金の国内総生産(GDP)比率(地方債含む)は今年、史上初めて200%を超え、財政危機に陥っているギリシャ(136.8%)やアイルランド(112.7%)を大きく上回る。国の借金は、大人世代のエゴと無責任さによって、子ども世代の金(税金)を先に奪っているのと同じだ。
そうかといって、ポピュリズムともいえる民主党の公約が、政策面で成果を挙げているわけでもない。子女教育への投資を訴えて支給された子ども手当は、ほとんどの家庭で老後に備えた貯蓄に回った。高速道路の通行料値下げは、大都市周辺の交通量増加につながっただけで、地方景気に与えた効果は大きくなかった。国の借金が雪だるま式に膨らみ、年金など将来への不安を感じた国民がさらに消費を減らし、景気低迷はいっそうの悪循環に陥っている。20年という長い低迷期から脱却しようと、カネをばらまいているが、逆に「30年不況の始まり」という悲鳴も聞こえている。民主党は参議院選挙で惨敗し、支持率は20%台まで暴落している。
政府が、必要とあれば国民に苦痛を強いることができてこそ、未来が開ける。英国は国民の反発を浴びながらも、増税や福祉予算削減に踏み切った。そうした道しかないからだ。反ポピュリズム政策を進めるのは、財政危機を未然に防ぐための苦肉の策だ。問題は韓国の場合、福祉ポピュリズムがスタート段階のため、財政破綻を経験していない国民を説得し、社会的なコンセンサスを得るのが容易でないという事実だ。それだけ政界が「福祉」で国民を欺く余地が大きいともいえる。
車学峰(チャ・ハクポン)東京特派員