救急患者の受け入れを複数の病院が拒否する「たらい回し」を防ぐため、県は、症状によって受け入れ先の医療機関を定める基準の素案をまとめた。4月からの運用を目指し、意見の公募とインターネット上の電子会議室での意見交換などを行う。【黒田阿紗子】
県内では、救急隊が現場に到着してから、患者を病院に収容するまでにかかる平均時間が、99年の22・7分から09年には7・9分延びて30・6分になっている。消防と医療機関の連携を進め、救急搬送を円滑にするためのルール作りが必要として基準の素案をまとめた。
素案では、命の危険や重大な後遺症の恐れがある重症以上の患者を7種に分類=別表参照。種類によって、受け入れ先医療機関をリストで指定している。
基準に沿って受け入れ先を照会しても、4回以上拒否されたり、30分以上決まらなかった場合は、原則として最寄りの救命救急センターが一時的に受け入れる。
09年に救急搬送された6万6911人のうち、重症以上の患者は13・7%にあたる9149人だった。
素案は、県のホームページや各地域振興局で閲覧できる。意見は2月19日まで、郵便や電子メールで受け付ける。電子会議室は24日~2月18日に開設され、事前登録すればインターネット上で意見交換ができる。
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◆対象患者の分類基準案◆
※上から優先度が高い順
【緊急性】
(1)重篤
(2)脳卒中の疑い
(3)心筋梗塞(こうそく)の疑い
(4)重症・中等症の外傷の疑い
【専門性】
(5)重症度・緊急度の高い妊産婦
(6)重症度・緊急度の高い小児
【特殊性】
(7)精神疾患
毎日新聞 2011年1月21日 地方版