米グーグルがCEO交代、フェイスブックとの競争に向け布陣

2011年 01月 21日 11:43 JST
 

 [サンフランシスコ 20日 ロイター] インターネット検索サービス大手の米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)は20日、エリック・シュミット最高経営責任者(CEO)が退任し、共同創業者のラリー・ペイジ氏が次期CEOに就任する人事を発表した。同日発表した第4・四半期決算は、市場予想を上回った。

 発表を受け、グーグル株は、通常取引終了後の時間外取引で約2%上昇した。

 グーグルは、スタンフォード大学在学中に知り合ったペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が1998年に設立した。インターネット検索分野で約10年にわたり支配的地位を保ってきたが、最近はフェイスブックやツイッターといったSNS(交流サイト)の追い上げを受けている。

 シュミット氏は4月4日にCEOを退任する。退任後は、会長職に専念し、買収案件や政府への対応などに携わる方針。ブリン氏は戦略的プロジェクトに集中する。

 今回の人事は、経営陣の意思決定の効率化を図り、責任範囲を明確にする計画の一環。

 シュミット氏は自社のウェブサイトで「グーグルが成長するにつれ経営やビジネスはより複雑になった。経営体制をいかに簡素化し意思決定のスピードを速めるかについて、ラリー(ペイジ氏)、セルゲイ(ブリン氏)とともに長い間検討してきた」とし、「今が体制を変更するのに適した時期だと判断した」と述べた。

 2001年にCEOに就任したシュミット氏は、当時、創業まもない会社だったグーグルに経営観念を植え付けた。同氏は発表後、ツイッターで「日々の監督はもう必要ない」とコメントした。

 ほんの数日前には、アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)が、ジョブズCEOが病気療養で休職し、ティム・クック最高執行責任者(COO)が日常業務の責任者を務めると発表した。

 UBSのアナリスト、ブライアン・ピッツ氏は「何か問題が生じているかもしれない、とネガティブに受け止められるだろう。グーグルは効率性の向上を図っており、フェイスブックと競争するため技術畑の人物をポストに据えようとしている」と指摘したが、グーグルが目指す戦略は変わらないとの見方を示した。

 20日発表した2010年第4・四半期決算は、純利益、純売上高ともに29%増加し、市場予想を上回った。

 特別項目を除いた純利益は1株当たり8.75ドル。純売上高(ウェブサイトパートナーに支払う手数料を除く)は63億7000万ドルだった。

 トムソン・ロイター・エスティメーツによるアナリストの予想平均は1株利益が8.10ドル、純売上高は60億6000万ドルとなっていた。

 シュミット氏はAクラスの普通株約53万4000株売却する。20日の同社株価終値に基づくと、同氏は約3億3470万ドルを得ることになる。売却後の同社株保有率は2.9%から2.7%に下がる。

 <フェイスブックとの競争>

 インターネットの利用者は、フェイスブックなどの新サービスに流れており、現にフェイスブックはアクセス数でグーグルを抜いた。こうしたなか、グーグルは、自社のサービス製品の人気を保持するため、採用や買収を続けている。

 パトリック・ピシェット最高財務責任者(CFO)はアナリストとの電話会議で、昨年末に発表した一律10%の昇給は、人材流出を防止するのが狙いと述べた。

 グーグルは、クーポン共同購入サイトのグルーポンを買収しようとしたが、グルーポンに拒否されたと複数のメディアが報じている。

 問題は、フェイスブックの成功が、グーグルのビジネスを侵食し始めるかどうかだ。投資家の間では、企業がフェイスブックとグーグルの両方にネット広告を出そうとするか、それともグーグルからフェイスブックへの乗り換えが起こるか、が議論されている。

 ジェイコブ・インターネット・ファンドのポートフォリオマネジャー、ライアン・ジェイコブ氏は、グーグルが経営陣の意思決定効率化が目的と説明する今回の人事について「好ましい動き。これまでそれ(3頭体制)は常にわれわれをやや不安にさせる要因の一つだった」と述べた。

 
 
 
 
 
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