アメリカ人も謝る時には謝る グルーポンCEOが「大失敗」を謝罪
米ネットメディア『テック・クランチ』はメイソンCEOの謝罪について、「ビジネスオーナーの皆さんはこの謝罪の仕方をぜひ参考にしてください」と評価しています。「あなたがヘマをしたとき(when you screw up)」、顧客にどうやって真摯に謝ったらいいのかというお手本になるからと。
米ネットメディア『E-Commerce Times』も、グルーポンは「珍しい対応の仕方を選んだ。問題を否定したり、ごまかしたり、自分たちの起こした問題は大したことではないフリをするのではなく、グルーポンのCEOは対応のまずさを表立って認め、謝罪し、弁償し、同じようなことが二度と起きないよう会社として何をどうするのか顧客に説明した」と、評価しています。「時には、ごめんなさいと謝るのが一番いい(Sometimes it's best to say you're sorry)」のだと。
日本では訴訟社会アメリカについて、「ともかくアメリカ人は謝らない。日本人はついすぐ謝ってしまうから気をつけるように」というイメージが流布しています。アメリカ生活を始める前に、「すぐ謝っちゃダメだよ」と注意された人も多いのではないでしょうか?
確かにそれはあながち嘘とも言えないのですが、常に真実とも限らない。当たり前のことですがアメリカ人にも良識や常識や誠意や善意は(たくさん)あるので、謝るべき時にしっかりはっきり謝れば高く評価されるものです。人間としても、企業としても。たとえばトヨタ自動車が昨年のリコール問題の中であれだけ批判されたのは、「社長が謝らない、潔くない」という印象を与えてしまったことが大きな要因としてありました。
豊田社長が昨年の今ごろ「隠れてる、なかなか記者会見しない」と批判されていたように、メイソン氏の謝罪ももう少し早くても良かったんじゃないかと思わないでもないですが、この『E-Commerce Times』記事の筆者ロブ・スピーゲル氏は謝罪が「親密で、礼儀正しいものだった(personal and respectful)」と評価しています。
そしてこのニュース、英語圏のいわゆる「一般主要メディア」で伝えているのは今のところAP通信だけのようなのですが、AP通信が伝えたことで、英語圏でもそれなりに周知されることでしょう。グルーポンの「ひどいヘマ」と、それについてCEOが素直に謝ったことが両方同時に。そのどちらがより大事なニュースとして広まるかは様子見ですが、何となく、何となくですが「素直に謝った」ことの方が評価されるような気はします。
なんでもかんでも「すみません」と口先だけで言う人は信用されないし、訴訟社会では確かに自分の非を簡単に認めない方が良いことも多い。けれどもアメリカでは、明らかに自分に非があるのに謝らず、むしろ逆ギレして他人を責め立てる一部の政治家の姿に辟易としている人も多い。その辺を読み違えて「アメリカでは謝ってはいけない」などと勘違いしていると、人間性を疑われるのでどうぞご注意下さい。
◇本日の言葉いろいろ
・mess up = めちゃくちゃにする、ダメにする、失敗する
・earn = 得る、(評価を)受けるに値するだけのことをする
◇筆者について…
加藤祐子 東京生まれ。シブがき隊や爆笑問題と同い年。8歳からニューヨーク英語を話すも、「ビートルズ」と「モンティ・パイソン」の洗礼でイギリス英語も体得。オックスフォード大学修士課程修了。全国紙社会部と経済部、国際機関本部を経て、CNN日本語版サイトで米大統領選の日本語報道を担当。2006年2月よりgooニュース編集者。フィナンシャル・タイムズ翻訳も担当。英語屋のニュース屋。最新の訳書に「策謀家チェイニー 副大統領が創った『ブッシュのアメリカ』」(朝日新聞出版)。
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