アメリカ人も謝る時には謝る グルーポンCEOが「大失敗」を謝罪

gooニュース・JAPANなニュース2011年1月18日(火)11:30

英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は「グルーポン」騒動についてです。「大晦日に届かないし届いたらスカスカの劣悪だった」というおせち問題について同社の若きCEOが「本当に申し訳ない」と謝罪するビデオ(日本語字幕付き)が日本時間の17日夜、YouTubeに掲載されました。イメージダウンを何とかしなくてはという危機管理の一環ではありましょうが、「ビジネスオーナーが客に謝る際のお手本になる」と評価されています。そして、アメリカ人も謝るべき時には素直に謝るものだと身をもって示したこの姿は、もしかしたら多くの日本人が抱く「謝らないアメリカ人」のパブリックイメージを、少し変えたのではないでしょうか?(gooニュース 加藤祐子)

○さすがにまずい、あのおせち

このたび「おせち騒動」を謝罪したのは、クーポン共同購入サイト「グルーポン」(Groupon)の共同創業者兼CEO、アンドリュー・メイソン氏。1981年生まれ。公式プロフィールではガールフレンドと20匹以上の猫と暮らしているとありますが、こちらの英『テレグラフ』紙記事によると、猫20匹はいないとのこと(では猫たちはどこへ行ったの?と、猫好きとしては気になるところです)。

いずれにしても、公式プロフィールでもそうやって軽くふざけてみるというのが、グルーポンとアンドリュー・メイソンCEOの「ノリ」の様子。「弊社は資本金9億5000万ドルを計上しました」と真面目に発表する際にも、「グルーポンは、えっと、10億ドルとかそこらを計上(Groupon Raises, Like, A Billion Dollars)」と発表文に書いてみたり。あるいはプレスリリースで「グルーポンは『アメリカでベストなウエブサイト』だと、グルーポンのテレビCMで言われています」と書いたり。要はそういう、よく言えば若々しくて明るいノリの会社なんだという印象です。

それでもさすがに、グルーポン・ジャパンを通じて販売されてしまった「謹製おせち」の騒動はまずかった。問題のおせちの写真などが年明けにTwitterで流れてきた時、私も新年「初仰天」をしました。しかも騒ぎになっているのに、それを伝える記事の上にグルーポンの広告が出ているという皮肉な状況もネット各地で頻発しており。「なんだかなあ」と連日のように思うこと2週間余り。

被害に遭った顧客への個別対応は当然として、日本でのイメージダウンに対する危機管理はどうするのだろうかと思っていたら、このタイミングでメイソンCEOの謝罪ビデオがYouTubeで発表されたわけです。ネット企業がYouTube上で謝罪する、そのことに特に驚きはありません。言いたいことが全部伝えられるし、記者会見で質問攻めにされる事態も当面は避けられるという、昨今流行りの発表方法です。

○ 「本当に大失敗でした」

謝罪ビデオには日本語字幕がついていますので、詳しくはそちらを見て下さい。要するに、(1) 予想以上の注文が集まって店側の対応能力を超えてしまった、(2)アメリカをはじめ複数の国のグルーポンでは、業者の対応能力を正確に把握する方式「capacity planning formula」が導入されている、(3)日本ではグルーポンがあまりに予想外に急成長したため、このシステム導入がまだだった、(4)日本でもキャパシティー管理について担当者の教育を急いでいる、(5)日本でお正月がとても大切なイベントだと承知している、本当にごめんなさい――というのが主な内容です。

とりあえず素直で好ましいなと思ったのは、メイソンCEOが単刀直入に「We really messed up」と、率直な表現で認めたことです。字幕とは違う訳し方をしますが、「本当にヘマしました」とか「本当に大失敗でした」とか、そういう感じの表現です。

メイソンCEOはさらに、「今回のことで僕も、グルーポンの全員も、本当に申し訳なく思っています」と謝罪。この「I really want to say how terribly sorry I am」というのは、直訳すれば「自分がどんなに申し訳なく思っているか、ぜひともお伝えしたい」という意味で、英語における謝罪の常套句。常套句だから真摯ではないということではなく、こういう言い方をすれば「ああ、謝ってるんだな」とすぐに理解してもらえる表現です。

メイソン氏は、「僕たちがグルーポンを作ったのは、わくわくする新しい経験を提供して多くの人の生活を豊かなものにする、そのお手伝いをするためでした。なので今回のようにその反対のことをしてしまうと、本当に辛いんです(It really hurts)」と認めています。この「It really hurts」も、「体がとても痛いくらい申し訳なく思っている」という意味。日本語だと「身を切られるほど辛い」などと言う、あの感じに似ています。これも「ああ本当にすまないと思っているんだな」と相手に伝える、効果的な表現です。

メイソン氏は「こういうことがあると、謝るだけでは足りません。皆さんの信頼を回復するために何をしているか、同じような間違いが今後起きないようにどうしているか、説明したいと思います」と述べ、今回の被害者への弁償と、上述したような出店業者の対応能力を管理する方法を日本でも急ぎ導入することを説明しています。「皆さんの信頼を回復する」と訳した部分の英語は「earn back your trust」。信頼とは当たり前のようにしてあるのではなく、「earn」するもの、つまり信頼してもらえるだけの実績があって初めて得られるものという感覚が、この英語慣用句の根底にあります。

謝罪の最後でもCEOは「世界中で5000万人の人にメール登録してもらっていることは、信じられないくらい光栄だと思っているし、それを当然だなどと(take for granted)決して思っていません」とも。


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