社会
カキ豊漁なのに…思わぬ弊害で悪戦苦闘 相生湾
育ちすぎたカキの重みで、海に漬かった養殖いかだ。冷たい海水に漁師も悪戦苦闘している=いずれも相生沖の播磨灘 |
通常のいかだ。海面から出ているため、作業もしやすい |
播磨灘のカキが豊漁だ。このまま順調にいけば例年の出荷量を上回る見通しだが、相生湾では、育ちすぎた貝の重みで養殖いかだが海に沈んで傷んだり、漁師が海中に転落したりするなど思わぬ弊害が出ている。「豊漁は歓迎だが、こんなことは初めて」。漁師たちは水揚げに悪戦苦闘している。
カキの養殖いかだは、縦25メートル、横9メートル。竹やヒノキを格子状に組んであり、カキが密生するロープ千本程度が海中に垂らされている。水揚げ作業は、海に浮かぶいかだの上で行われる。
今季は当初、猛暑の影響などが心配されたが、順調に成長。地元漁師によると、例年5月ごろに種付けをしても2〜3割は夏の産卵後に死んでしまうが、死んだ貝がほとんどない上、全体的に粒が大きいという。
県水産技術センターによると、昨年6、7月に雨が多かったことで、千種、揖保川から豊富な養分が運ばれ、餌となる植物プランクトンが育ったらしい。
ところが、豊漁に沸く相生湾の漁場に異変が表れる。秋ごろから、海中に数十センチほど沈むいかだが多く見られるようになった。約30年間、カキの養殖に携わってきた地元の漁師竹内昇さん(79)は「これまでにもいかだが海に漬かることはあったが、漁場全体に広がったのは初めて」と話す。
いかだの耐用年数は3年程度だが、海水に漬かるとその分、劣化も早まる。一基数十万円するといい、予定外の出費を強いられる可能性も。さらに、表面がぬれて水揚げ作業中の漁師が足を滑らせ、海に落ちるケースも相次いでいるという。
相生湾では、2009年夏の県西・北部豪雨以降、川から濁った水が流れ込み、カキが大量死。昨シーズンは例年600〜700トン(むき身)の出荷量が、半分以下に落ち込んだという。このため、今季は種付けの量を増やした漁師も多かったようだ。
近隣の坂越や室津、岡山県東部でもかなりの豊漁だが、水揚げ量が全国最多の広島県は例年よりやや少ないという。
(長谷部崇)
(2011/01/21 06:35)
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